予定していたことがキャンセルとなったので
当日券で名古屋フィルの定期を聴いてきた。
地方では滅多に聴けない、ショスタコーヴィチ交響曲第11番を、
クライツベルクが指揮するとあって期待に胸も高まる。
前プロは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番、
まるでモーツァルトのようにロマンチックな隠れた名曲。
独奏はキリル・ゲルシテイン、
知らないピアニストだったが、なかなかの腕前。
本人にとっても会心の出来だったのだろう、
終演後は笑顔が漏れていた。
途切れないカーテンコールに応えアンコール。
シューベルトの「4つの即興曲」から第3番、
しっとりとしたピアノの音色が会場に響き渡った。
メインのショスタコーヴィチ交響曲第11番は、
大音量で重厚に響かせるのではなく、
きびきびとした統率の取れた演奏。
金管に多少のキズはあったものの、
クライツベルクの細かい点まで行き届いた指揮ぶりに
オケも十分応えていた。
この曲を生で聴くのは初めて。
CDでは決して聴き取れないダイナミックレンジに
体中がしびれた。
ところが、終演間際に不思議な現象が起きた。
最後の和音の直前にフライングの「ブラヴォ」と拍手、
ここまでは名古屋ではありがちなこと。
ところがここで女性の叫び声が重なった。
よく聞き取れなかったが、
その後のネット情報によると「まだ鐘がある!」らしい。
拍手はここで止み、オケと指揮者はストップモーションのまま。
数十秒、沈黙が続いた。
指揮者が棒を下ろし、オケが楽な姿勢に戻ると
やっとここで大きな拍手。
叫び声は、観客からなのか、
あるいは団員(なわけないと思うが)からなのか。
まだ鐘がある、という叫び声も正確ではない。
あの瞬間に演奏は終っているのだから。
実はこの日、ベートーヴェンの1、2楽章間、
女性のヒールの音が響き、さらには携帯の着信音が鳴って、
指揮者や団員が客席をにらめつける一幕も。
名古屋ってまだまだこんな場面に出くわすんだよね、
残念で恥ずかしいことだけど。
●名古屋フィルハーモニー交響楽団 第337回定期
'07.6.23 愛知県芸術劇場コンサートホール
指揮:ヤコフ・クライツベルク
演奏:名古屋フィルハーモニー交響楽団
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番ハ短調 op.37 キリル・ゲルシテイン(Pf)
(アンコール)
シューベルト:4つの即興曲 D899から第3番変ト長調
ショスタコーヴィチ:交響曲第11番ト短調 op.103 《1905年》
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