クィーン(スティーブン・フリアーズ監督)
映画「クィーン」を見てきた。
97年8月、ダイアナ元妃がパリで事故死した。
チャールズ皇太子とは離婚していたとはいえ、
王室とは無関係とばかりに公式コメントもしないエリザベス女王(ヘレン・ミレン)。
一方、就任したばかりのブレア首相(マイケル・シーン)は、
すぐさま追悼のコメントを出して、国民の支持を得る。
ダイアナの死を悼む声は次第に高まるにつれ、
王室への批判が集中し、
今後も威厳を保ち続けるべきか、
あるいは自らの感情に反し国民の前に登場すべきか、
苦悩する女王・・・
悲惨な事故からまだ10年もたっていないのに、
このようなリアリティのある映画が撮られたことに対し
驚くとともに違和感を感じた。
たしかにおもしろい脚本だ。
皇太后の毒舌ぶりや、本人よりもずっと人間臭いブレア首相、
徹底的にヨメを嫌うおかあさんのような女王、
実名の登場人物たちが個性的で大いに楽しませてくれた。
しかし、ダイアナ元妃の素行や、
同時に亡くなった恋人についてはまったく触れられておらず、
そんなきれいごとじゃないよなと、少々興ざめ。
と、悪いことばかり書いたが、
オスカーを獲得したヘレン・ミレンの、
緊張感のある圧倒的な演技、
実写フィルムを巧みに取り込んだ映像美、
テンポのよい脚本など、映画としては一級品であることを
申し添えておく。
というわけで、★★★★
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