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May 29, 2007

中嶋彰子 ソプラノ・リサイタル

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中嶋彰子のリサイタルを、サラマンカホールで聴いた。

ウィーンのフォルクス・オーパーで活躍している彼女の魅力は、
その豊かな表現力と演技力。
4年前、新国立劇場の「フィガロの結婚」を見たときに、
個性的なキャストの中でも、ひときわ輝いていたのが
スザンナ役の中嶋彰子。
賢そうで活発なスザンナ、まさにはまり役だった。

今回のリサイタル、ほぼ全曲、本人のMC付きだったのは、
地方公演だからだろうか。
集中力が途切れるので賛成しかねるが、
曲によっては理解が深まった。

アンコールは、私のお父さんとムゼッタのワルツの2曲。
大人しかった会場がやっと盛り上がった。
ここサラマンカホールは収容人数708人、
半分も埋まっていなかったのが
一番残念なことだった。

●中嶋彰子 ソプラノ・リサイタル
'07.5.26 サラマンカホール(岐阜市)
ソプラノ:中嶋彰子
ピアノ:ニルス・ムース

曲目: 
モーツァルト/春への憧れ
モーツァルト/夕べの想い 
モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」より“恋人よ早くここへ”
シューマン/花の曲 ※ピアノソロ
シューマン/女の愛と生涯
(休憩)
マルティーニ/愛の喜び
ゴルベレージ/もし貴方が私を愛してくれて
カラターニ/夢だった
トスティ/理想の女
トスティ/別れの歌
ベリーニ/歌劇「夢遊病の女」より“ああ、信じられない”
J.シュトラウス/オペレッタ「踊り子、ファニー・エルスラー」より“郊外のシーヴェリングで”
レハール/オペレッタ「ロシアの皇太子」より“きっと来る人”
(アンコール)
プッチーニ/歌劇「ジャンニ・スキッキ」より“私のお父さん”
プッチーニ/歌劇「ラ・ボエーム」よりムゼッタのワルツ“私が街を歩くとき”

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May 27, 2007

エスキモー「チェリオ ホワイトチョコ」

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今年に入ってからよく食べたのが
エスキモー「チェリオ ホワイトチョコ」というバーアイス。
昨年11月から今年2月まで期間限定で発売していた。
このアイス、中に口どけの良い板チョコが入っていて
チョコレート好きにはたまらない。
でもカロリーは相当高そう。

で、会社近くにある、
おばあちゃんが一人でやってる店では
なぜか今でも販売してる。
売れ残り・・・?

最近は「ハーシーチョコレートアイスバーBIG」がお気に入り。
アイスの中にも細かいチョコがたくさん入っていて
バリバリ感がたまりません。

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May 26, 2007

モノレールねこ/加納朋子

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加納朋子の「モノレールねこ」を読んだ。

タイトルに引かれて手にした。
短編集でどの物語にもあり得ない想定が出てくる。
初めてこの作家を読んだが
ワタシには無理、ついていけない。
特に最後の「バルタン最期の日」、
バルタンという名のザリガニが主人公で、
水槽から一家を見つめるという奇抜な設定。
うーん、生理的に合わない、
ちょっと勘弁してほしい。

というわけで、★★

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May 25, 2007

コーヒー デート

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会社近くにある喫茶店。
前を通っても店内に人の姿を見たことない。
なぜか、たこ焼きを売っている。
いつも窓際に並べてあり、
1皿300円と格安。
でも食べてみようとは思わない。

「コーヒー デート」。
ドアを開けてみたいような、みたくないような・・・

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May 22, 2007

家日和/奥田英朗

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奥田英朗は、新刊が出るたび迷わず購入する作家の一人。
帯によると今回のテーマは、
「ビター&スウィートな〈在宅〉小説」、
なんだそれ、というわけで「家日和」を読んだ。

「サニーデイ」「ここが青山」「家においでよ」
「グレープフルーツ・モンスター」「夫とカーテン」「妻と玄米御飯」の
6編からなる短編小説集。
家庭の中で起きた何でもない出来事を
軽妙なタッチで描いている。

秀作ぞろいだが、特に「家においでよ」がいい。
妻が家を出て行き一人暮らしが始まった。
落ち込むのでなく、がらんとしていた部屋を
自分の好みに変えていこうとする。
高額なオーディオも購入し、好きな本やCDに囲まれ、
うらやましがる男友達も巻き込んで、まさに男の城の完成。
男ならだれでも夢なんだよな、こういうことって。

ネットオークションロハスなどを
最新のネタを巧みに取り込みながら、
日常生活をユーモアたっぷりに描いた傑作短編集。
うまいぜ、奥田くん。

というわけで、評価は限りなく満点に近い★★★★☆
0,5点マイナスは、
「グレープフルーツ・モンスター」に
少々違和感を感じたから。

追伸
表紙は写真集「スモールプラネット」で有名な本城直季によるもので、
本の内容にぴったり。

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May 21, 2007

主人公は僕だった(マーク・フォースター監督)

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ハロルド(ウィル・フェレル)は国税庁の会計検査官。
毎日同じペースで平凡な生活を送っていた。
ある日突然、彼の頭の中に女性の声が割り込んで来て、
ハロルドの生活を管理するようになった。
その女性とは小説家(エマ・トンプソン)、
ハロルドは彼女の小説の主人公であり、
エンディングで死ぬことになってる。
それを知ったハロルドが、自分の運命を何とか変えようと
さまざまな努力をするのだが・・・

と、ストーリーはこんなところだろうか。
ジム・キャリー主演の「トゥルーマン・ショー」に似たイメージだが、
ワタシにはピンと来なかった。
で、これ以上は書かない。
エマ・トンプソンの快演のみが印象に残った作品。
ネバーランド」で今後を期待したマーク・フォースター監督だが
今回は空振りであった。

というわけで、評価は★★

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May 17, 2007

千夜千曲〈35〉Southern Lady/Joe Cocker

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ジョー・コッカー(Joe Cocker)の名前を聞いて思い浮かぶ曲、
若い世代(といっても30代以降)なら
ジェニファー・ウォーンズとデュエットした
映画「愛と青春の旅立ち」の主題歌
“Up Where We Belong”だろうか。
もちろんこの曲も捨て難いが、
1曲選ぶというなら“Southern Lady”。

この曲が含まれるアルバム“Luxury You Can Afford”(邦題は「青い影」)は
ニューオリンズの大御所アラン・トゥーサンをプロデュースに迎え、
スタッフの面々、それにドクター・ジョンや
今は亡きダニー・ハザウェイらが
ゲストとして名を連ねる豪華なアルバム。
当時AORの静かなブームの中で
ジョーが再起を賭けた1枚だった。
実際に売れたのかどうかはわからないが、
名曲ぞろいで、かつ、バックの演奏のセンスの良さもあって
当時、一番聴いていたアルバムだった。

中でも“Southern Lady”でシャウトするジョー・コッカーは
とにかくかっこ良かった。
髭もじゃでルックスは決して良くなくというか、はっきり言って汚い、
しかも麻薬中毒の過去があるというおっさんなのに、
ひとたびマイクを握ると、聴き手をこんなにも痺れさせる。
たまりません、絶対におすすめする1枚。
だけど今は国内盤、廃止らしい。

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May 15, 2007

チョン・ミョンフン指揮フランス国立放送フィル

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チョン・ミョンフン指揮フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団の
名古屋公演を聴いてきた。
この組み合わせを聴くのは2回目、
前回は3年前、東京文化会館でのオペラ「カルメン」だったので
オーケストラ公演としては初めてとなる。

まずはラヴェルの「マ・メール・ロア」、
金管はホルン2本のみの編成だが、
打楽器はティンパニーやシンバルから、
シロフォン、グロッケンシュピール、チェレスタなどが使われ
実に鮮やかな音色が楽しめた。
ラヴェルの管弦楽曲としては一般的に地味で、
今までに聴き込んでいなかったので、とても新鮮に感じた。
終曲、次第にクレッシェンドしていく
壮大なクライマックスは鳥肌もん。
オケは弦楽の透明感あふれる音色が印象的。
2本のホルンも大健闘。

休憩後の幻想交響曲
ミョンフンの幻想は
2000年にフランス国立管弦楽団(国立放送フィルとは別団体)との
来日公演で聴いて以来となる。
聴き逃したが、フィルハーモニア管弦楽団との初来日公演も
メインは幻想だったはず。
その後、東京フィル定期でも振っているので
マエストロにとっては余程気に入った曲であり、
十八番なのであろう。

この日も1楽章から快調。
前半のラヴェルとはうってかわり、
ドイツのオケのように重厚な音を聴かせてくれた。
特に金管群と打楽器群、
多少アンサンブルが乱れるくらい何のその、
迫力ある音色は会場内を震わせた。
そしてエンディングは、予想どおりの圧倒的な音量で観客を圧倒した。

ミョンフンのテンポの取り方、オケの引き寄せ方は相変わらずうまい。
オケのメンバーもマエストロに全幅の信頼を置いていることが
演奏の節々からよくわかる。
オケと指揮者の良好な関係をこれからも続けてほしいものだ。

アンコールは、全速力のカルメン、
ミョンフンのアンコールピースはそれほど多くない。
この曲も幾度となく聴いてきたが、
いつも会場は興奮の渦。
この日も例外ではなかった。
また、ミョンフンのファン、増えただろうな。

でも、でも、
10年以上も前からのファンだからこそ書きたいと思うが、
昔ほどわくわくさせられることはなくなった。
ワタシにとって、ミョンフンの頂点は
2回目のLSOとの来日と、
東京フィルとのベートーヴェンチクルス。
特に前者のマーラー1番とドヴォ8、
あの奇跡の演奏は、今でも忘れられない。

●チョン・ミョンフン指揮フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団
'07.5.11 愛知県芸術劇場コンサートホール

ラヴェル作曲/マ・メール・ロア
(休憩)
ベルリオーズ作曲/幻想交響曲
(アンコール)
ビゼー/カルメン前奏曲                                                                         

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May 13, 2007

伊勢木綿

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昨日、ある学会の物販コーナーで
偶然目にした伊勢木綿(いせ・もめん)。
250年の伝統を誇る工芸品だが、
今は生産者が1軒だけになってしまったと、
生産を続けている会社の社長から説明を聞いた。

色柄はどれも落ち着いており、
よく見ると意外に斬新なデザインで、
とても心を引かれた。
反物ごと買いたかったが、
使い道も決まらないうちからどうかと思い、
まずは手頃な手ぬぐいを買った。

数字が配置された、いたってシンプルなもの。
京都の“SOU・SOU”というデザイン事務所が
伊勢木綿を使った製品を扱っており、
手ぬぐいも、ここのデザインによるものらしい。

ウェブで“SOU・SOU”を調べてみると、
代表がこう日記に書いていた。

「今動く機械をフル稼働させても
一日で20反(浴衣でいうと20着)くらいしか織ることが出来ません。
もし、全国的に火が点けば
『伊勢木綿の浴衣反物3年待ち』なんていう
エルメスのバーキンみたいになってしまう日が来るかもしれません。
いや、来ます、近いうちに。」

まったくの同感。
このトラッドな色柄が注目されるときが、
いつか来るに違いないと信じている。
まずは私も、伊勢木綿で着物を作りたいなと思う、
もう少し歳を取ったら、だけど。

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May 12, 2007

バベル(アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督)

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映画「バベル」を見てきた。
3つの国で起こった出来事を相互に描いていく群像劇。

夫婦仲の危機を迎えたアメリカ人夫婦
ブラッド・ピットケイト・ブランシェット)が、
子どもをベビージッターに預けてモロッコへ旅行に。
現地の子どもたちが撃った銃の弾が、
偶然、妻に当たってしまう。
手当をしようと右往左往する夫、
辺ぴな町で医者を呼ぶと、なんと獣医師だった・・・

一方、アメリカで、夫婦の子どもたちを預かっているベビーシッター。
予定通り帰ってこない夫婦に業を煮やし、
息子の結婚式に参列するため、
子どもを連れて母国メキシコへ向かう・・・

日本では聾唖の女子高生(菊地凛子)が主人公。
理解しがたい衝動的な行動を繰り返す。
彼女の母は短銃自殺をし、今は父と二人暮らし。
しかし、父(役所広司)には彼女の行動を止められない・・・

いろいろな見方ができる映画で、
周りに聞いてみても評価はさまざま。
疑問に感じる点も多く、どうもすっきりしない。
タイトル「バベル」とは、
アメリカ人夫婦が子どもを亡くしたのはなぜ、
女子高生の母はどうして自殺したのか、
刑事に渡した手紙の内容は・・・

3つのストーリーの中でも東京は特別に扱われていると感じる。
親子が住む高層マンションはバベルの塔の象徴なのだろう。
ラスト、ベランダで裸になった娘を驚きもせず抱きしめる父、
うがった見方をすれば、この二人の関係はもしかすると・・・
母が自殺したのも父娘の関係を疑った、
いや自殺ではなかったのかも、
刑事に渡した手紙には真実が書かれていたのではないか。
いろいろ想像(妄想)が膨らむのも悪くはない。

ただ、エログロは何とかならないのか。
ニワトリの場面とか、アメリカ人妻のキズを縫う場面って、
本当に必要なの?

というわけで、評価は★★★

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May 09, 2007

クィーン(スティーブン・フリアーズ監督)

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映画「クィーン」を見てきた。

97年8月、ダイアナ元妃がパリで事故死した。
チャールズ皇太子とは離婚していたとはいえ、
王室とは無関係とばかりに公式コメントもしないエリザベス女王ヘレン・ミレン)。
一方、就任したばかりのブレア首相(マイケル・シーン)は、
すぐさま追悼のコメントを出して、国民の支持を得る。
ダイアナの死を悼む声は次第に高まるにつれ、
王室への批判が集中し、
今後も威厳を保ち続けるべきか、
あるいは自らの感情に反し国民の前に登場すべきか、
苦悩する女王・・・

悲惨な事故からまだ10年もたっていないのに、
このようなリアリティのある映画が撮られたことに対し
驚くとともに違和感を感じた。

たしかにおもしろい脚本だ。
皇太后の毒舌ぶりや、本人よりもずっと人間臭いブレア首相、
徹底的にヨメを嫌うおかあさんのような女王、
実名の登場人物たちが個性的で大いに楽しませてくれた。
しかし、ダイアナ元妃の素行や、
同時に亡くなった恋人についてはまったく触れられておらず、
そんなきれいごとじゃないよなと、少々興ざめ。

と、悪いことばかり書いたが、
オスカーを獲得したヘレン・ミレンの、
緊張感のある圧倒的な演技、
実写フィルムを巧みに取り込んだ映像美、
テンポのよい脚本など、映画としては一級品であることを
申し添えておく。

というわけで、★★★★

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May 07, 2007

スパイダーマン3(サム・ライミ監督)

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大型連休の後半、
大入りのシネコンで「スパイダーマン3」を見てきた。

いまやNYで押しも押されぬ英雄なったスパイダーマン。
その正体であるピーター・パーカー(トビー・マグワイア)は、
恋人の女優MJことメリー・ジェーン(キルステン・ダンスト)との仲も好調で、
いよいよプロポーズと意気込む。
ところがMJのほうは初の主演舞台を降ろされて意気消沈。
そんな折、ピーターの叔父を殺した真犯人が脱獄したとの知らせが入る・・・
やがて謎の黒い生命体に取りつかれ、
黒づくめのブラックスパイダーマンと化した彼は、
性格も徐々に凶暴となり、精神をも乗っ取られることに・・・

この映画、あまりに多くのエピソードを詰め込みすぎている。
ワタシは見ていて消化不良を起こしてしまった。
もっとシンプルな脚本にならないものだろうか。
NYの高層ビル街を糸を使って飛び回る自慢のアクションシーンも
さすがに第3作ともなれば飽きてくるし、
戦闘シーンはあまりに激しすぎて、
ワタシのような中年の目では追っていけない。

というわけで、少々、というか随分、期待はずれに終った。
5段階評価は、★★★

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May 05, 2007

ブラッド・ダイヤモンド(エドワード・ズウィック監督)

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レオナルド・ディカプリオが、
アカデミー賞主演男優賞候補となった
ブラッド・ダイヤモンド」を見た。

90年代、アフリカ大陸の小国、シエラレオネが舞台。
漁師のソロモン(ジャイモン・フンスー)の村が、
反政府ゲリラRUFに襲われ、家族は散り散りとなる。
ソロモンは捕らえられ奴隷としてダイヤモンド採掘場に送られる。
そこで偶然、ピンクダイヤの原石を見つけ、
監視の目を盗み土の中に埋めて隠す。
ひょんなことからこのダイヤの存在を知ったのが
密輸商人のアーチャー(レオナルド・ディカプリオ)。
ソロモンに、ダイヤと交換に彼の家族を捜し出すと約束する。
アーチャーは女性ジャーナリストのマディー(ジェニファー・コネリー)に
ダイヤ密輸の特ダネを提供することを条件として、
2人を紛争地から脱出させるように依頼する・・・

見ていて何とも辛い映画だ。
アフリカ大陸の貧しい国で、ダイヤが金を生むことがわかり、
政府と反政府ゲリラとが国を二分してその採掘を目指す。
ダイヤを売った金で武器を購入し、
内戦がしだいに激しくなっていく。
ゲリラは村々を襲撃しては略奪と残虐行為を繰り返し、
男たちを殺すか、復讐ができないよう両手を切断する、
あるいは体力のあるものは強制連行し、
ダイヤ発掘のための奴隷として働かせる。
連れ去った子供たちをゲリラ側の少年兵として教育し、
略奪に参加させる。
このような悪夢の連鎖により、内戦が激しさを増す。

やるせないのは、
この国の人たちを食いものにしているのが
先進国であるという事実。
そして最終的にはダイヤを欲しがる人たちであること。

話題作が次々と上映されているGW、
娯楽作品のなかに埋もれてしまいそうだが
ぜひ見ておきたい硬派の映画。

というわけで、5段階評価は★★★★★

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May 03, 2007

風が強く吹いている/三浦しをん

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三浦しをんの「風が強く吹いている」を読んだ。
2007年本屋大賞で3位となった話題作。

主人公は、寛政大学4年生の清瀬灰二(ハイジ)。
偶然、入学したばかりの蔵原走(かける)と出会い、
同じ青竹荘に住むことになった。
このボロアパートの住人は、走を含め、寛政大の学生ばかり計10人、
ハイジはこの10人で箱根駅伝を目指すと宣言した。
素人集団をどうやって鍛え上げるのか、そして結果は・・・

まあ冷静に考えたらあり得ない話。
陸上関係者から見れば、そんな甘くないよ、っと
一蹴されかねない。
ところが読むにつれだんだん熱くなり、
物語に引き込まれていった。
最後は一緒に箱根を走っている、
あるいは並走しているかのように
大手町のゴールにたどり着いた。

箱根駅伝に出るぞと宣言してから、
猛烈な練習を始め、予選にのぞみ、本番へ、
2日間にわたる本番の経緯、レース中の10人それぞれのの思い、
それらをまともに書いたのでは、
佐藤多佳子「一瞬の風になれ」ではないが
3分冊くらいのボリュームになってもおかしくない。
厚いとはいえ1冊にまとめた著者の筆力、
三浦しをん、すごいね。

山口晃のイラストによる
全員が登場する表紙、1ページ目のアパートの立体裁断図など
ブックデザインも秀逸。

力強くて優しくて勇気を与えてくれる、極上のエンターテイメント、
おすすめです。

というわけで満点、★★★★★

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