赤朽葉家の伝説/桜庭一樹
千葉出張に持って行った桜庭一樹の「赤朽葉家の伝説」、
往復の新幹線の中で、一気に読み終えた。
鳥取県西部、日本海沿いの紅緑村。
製鉄と造船で大いに栄えたが、やがて衰退していく。
主人公は赤朽葉家の孫娘で、
祖母と母と続く3世代3人の人生を描く。
祖母の万葉は、山奥の“辺境の人”が村に置き去った子供。
ところが縁あって、赤朽葉家の御曹司と結婚することになる。
文盲だが、未来を見通す才能を持っている。
母の毛毬は猛女。
いわゆる不良で、中国地方のレディースを制覇するまでに至る。
そしてその体験をマンガにしたところ大ヒットし、売れっ子となる。
孫娘の瞳子は、短大卒業後、
一時は就職するもののすぐに退職、今はニート状態。
赤朽葉家一族の興亡の壮大な物語に、
それぞれの時代のリアルな社会描写を盛り込み、
ドラマチックで興味深い内容となっている。
冒頭に登場する"空を飛ぶ男"の謎が、
最後の最後に解き明かされる。
このエピソードが、作品を引き締めている。
というわけで、5段階評価は★★★★★
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