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December 31, 2006

銃とチョコレート/乙一

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今年最後に読んだのは乙一の「銃とチョコレート」。
「かつて子どもだったあなたと少年少女のために」と題した
講談社ミステリーランドシリーズの1冊。
その名のとおり子ども向けだが、
大人の鑑賞にも十分耐えうる作品。

リンツ少年の住んでいる国で
富豪の家から金貨や宝石が盗まれる事件が続発した。
現場に残されたカードから
怪盗ゴディバ【GODIVA】の仕業であることがわかる。
そこで、子どもたちのヒーロー探偵ロイズが、
ゴディバを逮捕するべく立ち上がる。
ある日リンツは、父の形見の聖書から古びた手書きの地図を見つけた。
ゴディバの事件の鍵を握る貴重な資料であった。
探偵ロイズと秘書のブラウニー、警視のガナッシュが
リンツに接近し、話は急展開する。

二転三転するストーリーは、
子どもでなくても。わくわくさせられる。
単なる少年向けの冒険小説と違うのは
善玉と悪玉がはっきりしないこと。
主人公のリンツは良い子だが
ヒーローにしては間抜けなところが多すぎる。
一方、一緒に財宝を探しに行くことになる
どうしようもない不良少年のドゥバイヨルは、
知恵があり推理力も持ち備えている、
さらには度胸も満点なのに、本当に嫌な奴。

著者は、遊び心もいっぱい。
例えば登場人物の名前。
前述のリンツ、ゴディバ、ロイズ、ブラウニー、ガナッシュ、
さらにはリンツの友人デメル、母メリー、隣に住むモロゾフ、
いやいやここまで凝るとは、お見事!

子ども向けということで
ひらがなが多いのは読みづらかったが、
ジュール・ヴェルヌの小説を
むさぼるように読んでいた40年前を思い出しながら
感慨深く読んだ。

というわけで、評価は★★★★★

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