きいろいゾウ/西加奈子
動物や植物と話すことができるツマ(妻利愛子)と、
売れない小説家のムコ(無辜歩)の物語。
2人は駆け落ちして、ある田舎町に住んでいる。
そこには個性的なご近所さんが。
例えば、いつもズボンのチャック全開のアレチさん、
聡明だけれど登校拒否の小学生、大地くん、
あるいは、犬のカンユさんやチャボのコソクなど。
2人はお互いのことをあまり知らないし、知ろうとはしなかった。
しかし次第に、ツマが子どもの頃に1年間入院していたこととか、
ムコの背中には鳥のタトゥーがあることとか、
さらにはムコには昔恋人がいたこととかが
次第に分かってくる。
登場人物が魅力的だ。
主人公と前述のご近所さん、
さらには、幻の漫才コンビ「つよしよわし」、
ほんとうにうまく配されている。
特に、大地くんは健気でとってもいい。
9歳というのは、いかにもませ過ぎているが
まあご愛嬌か。
最後の一行、大きな文字で書き加えられた「必要なもの」、
これにはジンときてしまった。
何でもない日々の貴重さ、
前向きに生きることの大切さ、
そして、大好きな人とずっと一緒にいられることのうれしさ、
そんなことをしみじみと感じさせてくれる珠玉の作品。
評価は★★★★★
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