優しい子よ/大崎善生
大崎善生の「優しい子よ」を読んだ。
この本で、著者が美形女流棋士、高橋和の夫だということを知った。
しかも年齢差は19歳・・・ゆるせん。
気を取り直して、この作品は4つの短編集となっている。
最初と最後の2作は、
大崎夫婦自身のことを書いているいわば私小説。
2、3作目は名テレビプロデューサー萩元晴彦を
取り上げている。
4作品ともジャンルとしては、
小説というよりノンフィクションである。
表題作には参った。
涙が止まらないのだ。
涙で文字がにじんで、何度も読めなくなった。
不治の病と戦う少年と、女流棋士の妻との交流を描く。
なんでこんなベタな話にとは思っても、
これがノンフィクションの持つ力だろうか。
「テレビの虚構」「故郷」は、著者が萩元晴彦の逝去後、
取材を通して彼の生きてきた道を確かめる物語。
萩元が実に魅力的に描かれている。
「誕生」は、“優しい子”と友人萩元の死を経た著者と妻が、
新しい生命を授かる物語。
本の最後になって、やっと光が差してきた。
以上4作品、人の持つ「優しさ」と「強さ」をかみしめながら
じっくりと味わった。
誰が何と言おうと評価は★★★★★
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Comments
大崎善生といえば「聖の青春」を思い出します。
以前、藤原竜也が主演してドラマ化されていました。
るうかすさんの評価が★5つなら、こっちの作品も今度読んでみなきゃ。
Posted by: kubori | December 10, 2006 10:55 AM
kuboriさん
ドラマ「聖の青春」を制作したのが、
ここで取り上げられている萩元晴彦です。
「優しい子よ」は評価が低いのですが、
私は買っています。
長いあとがきまで含めて、
ひとつの作品だと思ってます。
あまり期待せず手に取ってみてください。
Posted by: るうかす | December 10, 2006 06:30 PM