名もなき毒/宮部みゆき
宮部みゆきの「名もなき毒」を読んだ。
彼女の長編を読むのはブレイブ・ストーリー以来だろうか。
散歩中の老人がコンビニで購入したウーロン茶を飲んで毒殺された。
首都圏で発生している無差別連続毒殺事件の4人目の犠牲者か。
財閥企業の社内報を編集する杉田三郎は
犠牲者の孫娘である女子高生と知り合うことから
この事件に巻き込まれる。
一方、杉田の職場では、アシスタントをしていたアルバイト女性を
ミスが多発するためにクビにしたことで、
彼女の執拗かつ病的なクレームが始まる。
職場や杉田に対する異常ともいえる嫌がらせは、次第に激しさが増し
ついには杉田の家庭までも巻き込むことになる。
主人公の杉田は、
女子高生の祖父を殺害した犯人を追う探偵役であり、
かつ、女クレーマーの生い立ちにある秘密をたどりながら
その悪意に襲われる犠牲者にもなるところがおもしろい。
しかし、お人好しで、何にでも首を突っ込む杉村三郎には、
ワタシはいらいらさせられっぱなし。
もちろんそれは著者の意図するところなのだろうが、
金に苦労はしてないだけあって嫌な奴ではある。
主人公が気に食わない人物であっても、
500ページ弱を一気に読ませてしまうのは、さすが宮部みゆき。
というわけで5段階評価は★★★★★
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