赤い指/東野圭吾
主人公である会社員の前原昭夫、
妻と中学3年の息子、そして実母と暮らしていた。
以前から妻と母の関係は悪かったのだが
同居後は母が認知症を発症し、
甘やかされて育った息子は引きこもりとなるなど、
家庭は崩壊寸前。
そんなとき、直己が自宅で幼女を絞殺してしまう。
追いつめられた状況のなかで、家族はどんな決断を下したのか・・・
一方、この事件を捜査することになった
警視庁捜査一課の新米刑事、松宮脩平と
練馬署の刑事、加賀恭一郎。
二人は偶然にも従兄弟同士で、
恭一郎の父、隆正は末期ガンで余命いくばくもない。
加賀親子の関係がぎくしゃくしているのを見かねて、
脩平が隆正を見舞いを続ける。
叔父と従兄弟の間に何があったのだろうか・・・
家庭を顧みない夫、嫁と姑の対立、認知症の介護、閉じこもりの少年、
さまざまな社会問題を取り込んだこの小説。
ねたばれとなるので詳しくは述べないが、
認知症の前原の母や、
末期ガンの加賀の父の言動は、ちょっと腑に落ちない。
そして、ミステリーとしては甘い部分が多いが、
それにもまして、読者を引きつける魅力を持った作品。
最後にはいつもの泣かせどころがある。
この著者ならではのストーリーテリングに満足。
というわけで5段階評価は★★★★★
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