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May 31, 2006

犯人に告ぐ/雫井脩介

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雫井脩介の警察小説「犯人に告ぐ」を読んだ。

連続幼児殺害事件が相次いで発生する。
事件の捜査を指揮する神奈川県警の巻島特別捜査員が、
テレビ局の報道番組に毎回出演し犯人に呼びかけることになった。
今までにないテレビによる公開捜査、
警察と、顔の見えない犯人“バッドマン”とのやりとりが手に汗握る。

視聴率獲得のため狂奔するテレビ局、
主導権争いをする警察組織内部、
一方、一般市民は、テレビを通じて繰り広げられる犯罪ショーを
他人事のように観戦する。
フィクションとはいうものの、
最近多発している猟奇的な犯罪でも、
同じようなことが繰り広げられているのだろうと推測する。

主人公の巻島をはじめ、登場人物が皆、個性があり魅力的、
しかもストーリ−は映画でも見ているようなリアリティがあって、
最後まで一気読みをした。

面白い、というか個性的なのは、犯人の描き方。
最後の最後に登場するのだが、
あっさりと描かれ物語は終わる。
潔くてワタシは好き。

というわけで、5段階評価は★★★★★

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May 26, 2006

シムソンズ(佐藤祐市監督)

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トリノ五輪でも話題になったウィンター・スポーツ、
カーリングをテーマにした映画「シムソンズ」を見てきた。
なんで今ごろって、
私の住んでいる地方ではやっと先週末から上映されたばかり。
まあスクリーンで見られただけでも幸運だと思うことにしよう。
よくある青春モノかなと、あまり期待しないでいた。
ところが、これがつぼにはまってしまった。

映画は、ソルトレーク五輪に出場した
北海道常呂町の女子高校生4人による
カーリングチームを描いている。
物語はどうってことない。
ありがちな展開で、まさに青春映画の王道、
それがいいんだなあ。

何よりも、女子高生役の加藤ローサ、高橋真唯、星井七瀬、藤井美菜が
抜群にかわいい。
さらに、コーチ役の大泉洋、
加藤ローサの母親役の森下愛子など脇をかためる役者も
これ以外に考えられないくらいのベストキャストである。

4人が大会で着ていた、タータンチェックのボトムに、
“SIMSONS”のロゴが入ったジャンパー姿が
とってもさわやか。
しかしそれ以上に、ジャージ姿はおちゃめでかわいかった。

ワタシの場合、心に残る映画というのは、作品の良し悪しでなく、
単純に好きな作品。
その意味でこの作品は、忘れられない1本になりそう。
今年最高であることはもちろん、
今まで見てきた数千本の映画のなかでも
上位にランクする傑作。
「映画は映画館で」派のワタシには珍しく、
DVDを購入したいと思った。(7月に発売予定)

というわけで、5段階評価は★★★★★

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May 25, 2006

対岸の彼女/角田光代

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角田光代直木賞受賞作「対岸の彼女」を読んだ。
女性の友情を巧みに描いた傑作である。
しかし、面白くなかったというわけではないのだが、
感想がうまく書けない。

いろいろな形で登場する、
女性特有(たぶん)の友人関係が
ワタシには理解し難かった。
特に高校時代の少女たちの関係って
こんなにも複雑でかつ、もろいものなのか?

主婦で久しぶりにパートで社会に出た小夜子と、
独身で起業家の葵、
実は同じようなタイプの人間なんだけれど、
環境が違いすぎて分かり合えない。
一方で、高校時代の葵の話が並行して展開していく。
この構成が、小説に深みを加えている。

登場人物は皆、どこにでもいそうな女性ばかり。
生活ぶりもリアルに描かれていて、
それぞれ思い当たる人物が何人か思い浮かんでくる。
そんな中で、葵の高校時代のクラスメート、
ナナコのキャラクターがとても光っている。

現在の小夜子と葵の話と、
高校時代の葵の話、
最後に二つがつながったとき、
何ともいえない切なさに襲われた。

というわけで、5段階評価は★★★★★

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May 24, 2006

ホテル・ルワンダ(テリー・ジョージ 監督)

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見たい、見たいと思いながら
なかかな機会のなかった映画「ホテル・ルワンダ」が
やっと近くのシネマコンプレックスに来てくれた。

1994年にルワンダで起きた、
多数派フツ族による少数派ツチ族の大虐殺を描いている。
殺害されたツチ族は何と100万人を超える。

ルワンダの首都キガリにある四つ星ホテルの副支配人ポールは、
内戦で混乱するなか、ツチ族である自分の妻を含む
1200人以上のツチ族や難民を、ホテルでかくまい救おうとした。

ここでポールは、聖人として描かれているわけではない。
まずは自分の家族を助けたい、次に親族をと、
だれもが願うとおりに行動した。
事態が逼迫するなかで、次第に責任感が沸いてきて、
政府軍の将軍やフツ族の指導者にわいろを渡すことなどで
かくまった人々を何とか救うことができた。

しかし、世界はこれほどの大虐殺を、
どうして止めることができなかったのか。
その答えは映画のなかに出てくる。
欧米はじめとする各国が、この争いを静観した。
国連平和維持軍も「銃は撃たない」という鉄則の下、
難民の救助は行うが、積極的に紛争を治めようとはしない。
そして内戦は激しさを増していった・・・

ポール役のドン・チードル、妻役のソフィー・オコネドーは文句なし、
ホテルの本部の上司役、ジャン・レノ、
米国の記者役、ホアキン・フェニックス、
国連職員のオリヴァー大佐役、ニック・ノルティなど
脇役も光っていた。

エンディングはちょっと淡白だったか。

というわけで、5段階評価は★★★★★

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May 21, 2006

徳永英明コンサートツアー2006

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徳永英明のコンサートツアーを見てきた。
隠れファンであるワタシには、
鳥肌が立ちっ放しの2時間だった。
早くからコンポーザーとしての才能を開花させ、
数々の名曲を書き上げてきたが、
そのたぐい稀なる歌唱力は、
男性ヴォーカリストとしてトップクラスだと
今回のライブを聴いて確信した。

今回は、20周年記念ということで、
ヒット曲+女性アーティストの名曲カバーという選曲。
どの曲も素晴らしかったが、
個人的にはレイニーブルー、最後の言い訳、
そしてアンコールのLOVE IS ALL、
アコースティックなサウンドをバックに
透明で心にしみ入る声を堪能させてもらった。

●徳永英明 20th Anniversary Concert Tour 2006
”Beautiful Ballade”
'06.5.20 長良川国際会議場コンサートホール(岐阜市)

1.ボクニデキルコト
2.永遠の果てに
3.心のボール
4.風のエオリア
5.レイニーブルー
6.異邦人
7.かもめはかもめ
8.LOVE LOVE LOVE
9.僕のそばに
10.恋人
11.壊れかけのRadio
12.輝きながら…
13.最後の言い訳
14.ハピネス
(アンコール)
15.I’M FREE
16.LOVE IS ALL

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May 20, 2006

ニュー・ワールド(テレンス・マリック監督)

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寡作で知られる映画監督テレンス・マリックの新作
ニュー・ワールド」を見てきた。
評論家からどんなに高い評価を得ようとも、
ワタシには退屈そのものであった。

一番の問題は、
ポカホンタス役のクオリアンカ・キルヒャー、
インディオの血を引き弱冠15歳ということで
注目を浴びてはいるが、まったく魅力を感じなかった。
コリン・ファレルとクリスチャン・ベールの2人が、
この女性に引かれるとは到底思えない。

さらには音楽、
全編にワーグナーの楽劇「ラインの黄金」の序曲の部分と
モーツァルトのピアノコンチェルト第23番の第2楽章が流れる。
こうした有名曲の安直な使い方は不愉快なばかりか
腹が立ってくる。

というわけで、5段階評価は★★

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May 19, 2006

グッドナイト&グッドラック(ジョージ・クルーニー監督)

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久しぶりに映画を見てきた。
俳優ジョージ・クルーニーが監督し、
今年のアカデミー賞6部門にノミネートされた「グッドナイト&グッドラック
伝説的なニュースキャスター、エド・マローを描いたシリアスなドラマ。
新聞を隅から隅まで読み、
テレビは報道番組しか見ないワタシにとっては
つぼにはまった大傑作だった。

舞台となったのは1950年代半ばのアメリカ、
ニュースキャスター、エド・マローと仲間たちが、
マッカーシー上院議員が主導した反共産主義運動、いわゆる“赤狩り”を
テレビの力で告発する様子が描かれている。
舞台は、CBS社内のスタジオや部屋に限定され、
BGMも、別のスタジオで演奏をする生バンドから流れる音楽だけ。
このあたりの演出がシンプルではあるが、実にかっこいい。

マッカーシーの登場場面は、当時のニュース映像をそのまま用いており、
これに合わせるためだろう、全編モノクロ映像となっている。
まるでドキュメンタリーを見ているようだ。

役者は、ほぼ完璧な布陣。
エド・マローを演じるデビッド・ストラザーンは、
本人と間違えるほどのはまり役。
夫婦であることを隠して仕事を続けていた
ワシュパー夫妻役のロバート・ダウニーJr.とパトリシア・クラークソン、
シグ役のジェフ・ダニエルズ、
ペイリー会長役のフランク・ランジェラ、
自殺するキャスター仲間、ドン・ホレンベック役のレイ・ワイズ、
そして監督のジョージ・クルーニーは、
マローの友人でありプロデューサー、フレッド役、
みな渋い演技だった。

名場面はたくさんあるが、
ワタシのお気に入りは、
ドン・ホレンベックが新聞から何度も叩かれ、自ら死を選ぶ。
その情報がスタジオのマローに届くと、
画面は一瞬真っ白になり、すべての音が消える。
間を置いて、隣のスタジオで歌っているダイアン・リーブス
「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」が流れる・・・
しびれる場面だ。

というわけで、5段階評価は文句なしの★★★★★

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May 17, 2006

終末のフール/伊坂幸太郎

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伊坂幸太郎の最新作「終末のフール」を読んだ。
いつものことながら、タイトルがうまい。
何だろう、これ、と思わせておき、
読み終えたときに、にやりとさせられる
味わい深いタイトル。

8編が連作短編集となっており、
それぞれのタイトルが韻を踏んでいるあたりも、
心憎いばかりだ。

小惑星が地球に落ち人類が滅亡するまで、
あと3年という設定が絶妙。
5年前にこの発表があり、地球上は大パニックが起きる。
やっと騒ぎも収まってきている今、
生き残っている人たちの日常生活を描いている。

全編“伊坂ワールド”といえる「終末のフール」、
今度こそ直木賞、と予想しよう。
少なくとも5回目のノミネートは確実だろう。

というわけで、5段階評価は★★★★★

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May 16, 2006

名古屋フィル定期 「我が祖国」全曲

小林研一郎指揮名古屋フィルの定期演奏会で
スメタナ作曲の「我が祖国」全曲を聴いてきた。

なかなかやるじゃない、名フィル。
今まで聴いてきた中では、一番の演奏を聴かせてくれた。
第1曲「ヴィシェフラド」から第3曲「シャールカ」までが前半、
休憩が入り、そのあとが後半という構成。
1、2曲目は、ほとんどアタッカでつないで、
さて2、3曲目はどうするのかと注目していたら、
とても長い時間をおくことになってしまった。
どうもチェロの首席にトラブルがあったようだ。
楽器を持って袖に引き、楽器を調整しているのか交換しているのか、
この間、ずいぶん待たされた。
これによりオケも観客も集中力を欠き、
木管のキズが目立ったこともあり、今ひとつの出来。

休憩を入れて後半。
この3曲は、良く鳴り響いた金管群と、
細かいところまで十分に表現できた木管群、
今までにない音色は指揮者のトレーニングのたまものか。
弦にもっと重厚さが出てきたらほぼ満点だった。

今シーズンから定期演奏会の開催方法を
大きく変えてきた名古屋フィル。
その意気込みが感じられる、この日の演奏であった。

●名古屋フィルハーモニー交響楽団 第325回定期演奏会
'06.5.13 愛知県芸術劇場コンサートホール
指揮:小林研一郎

スメタナ/連作交響詩「我が祖国」全曲
1. ヴィシェフラド(高い城)
2. ヴルタヴァ(モルダウ)
3. シャールカ
4. ボヘミアの森と草原から
5. ターボル
6. ブラニーク

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May 14, 2006

タイムドメイン

今日は夕方、友人宅に行った。
彼はタイムドメインというスピーカーの代理店をしている。
その試聴会をしているからというので
興味があって出掛けた。
彼はこのスピーカーの音を聴いてから魅力に取り付かれ、
いつの間にか代理店をするようになったのだという。
もちろん本業は別。

部屋に入るとほかに3人が来ていて、
スピーカーから流れてくる音に耳を傾けていた。
タイムドメインのスピーカーは3種類、
“mini”というタイプはアップルストア名古屋栄で聴いたことがある。
よく鳴るなあとは思ったが、それほど印象には残っていない。
というわけで今日はじっくり聴いてみることにした。

まずは、“Yoshii9”という30万円のシステム。
2本の円筒形のスピーカーから流れてくるのは、
ひとことで言うなら、飾らない自然のままの音。
そして一つ一つの音がとても鮮明。
クラシックの弦楽四重奏、
そしてジャズのクインテットを聴いたとき、
それぞれの楽器の演奏位置が目に浮かぶようだった。
小ホール、ライブハウスの中で音楽にひたっている、
そんな感覚に陥ってしまうほど
臨場感あふれる音質だった。

次に、以前アップルストアで聴いた“mini”
20センチにも満たないサイズのスピーカーから流れてくるのは
“Yoshii9”にも負けないくらい豊かな音。
さすがに低域は不満が残るが、高域は充実している。

このシステム、オーディオとしてだけでなく、
パソコンやiPodの外部スピーカー、
テレビのスピーカーなどにも使えるという。
まずは試しにminiを購入して、
テレビでW杯を観戦するとき、外部に付けてみようと思う。
“mini”は2万円弱、手頃なお値段だ。

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May 13, 2006

フクゾー洋品店

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久しぶりに岐阜の街を歩いた。
柳ケ瀬通りですれ違った70代のおばあちゃん、
見たことあるネイビーのカーディガンだなあと
目を凝らしてみると「フクゾー」だった。

横浜の、いわゆるハマトラの老舗で、
ワタシも学生時代から20代前半によく着ていたブランド。
ポロシャツ、カーディガン、パーカー、
どれも胸のタツノオトシゴがシンボルマーク。
普通、ワンポイントは左胸に付くのだが、
フクゾーは、商品によっては右胸に付いていて、
それがとても新鮮だった。

先ほどのおばあちゃん、
歳はとっていたものの、清楚で育ちが良さそうだった。
もしかしたら横浜育ちで、
若かりしころからフクゾーを着続けているのかもしれない。

フクゾー洋品店」は横浜の元町が本店で、
支店も横浜市内に2店舗あるだけ。
今度上京したときに訪ねてみるかな、25年ぶりに。

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May 12, 2006

ダンベル体操

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先週、お風呂上がりに体重計に乗った。
いつもお風呂場に置いてあるのだが
乗ったのは久しぶりのこと。
69.7キロ、やばい、もう少しで大台70キロ。
というわけで、日曜日にLOFTでダンベルを買ってきた。
図書館でダンベル体操の本も借りてきて、
すぐその日からエクササイズ開始。

時間は15分くらい、
テレビを見ながらできるので、ずっと続いている。
といっても今日が6日目で、
うち月曜と木曜はさぼったので、実質4日。
三日坊主にはならずほっとしている。
休みながらでもいいので1カ月は続けたい。
そしてそのころには体重も60台半ばまで
落ちているはず。

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May 11, 2006

てんぷら ふくだや

岐阜でてんぷらを食べるときは「ふくだや」。
和食店には見えない店の構え、
モダンでアートギャラリーのような店内は
従来の和食店とは趣がずいぶん違う。

天ぷらは最高級のゴマ油、太白ゴマ油を使用しているため、
あっさりと揚がっている。
ユツも絶品で、ごはんもみそ汁も漬け物もすべて満点。
さらには価格も驚くほど安く、
特にランチはお得。
ワタシの好物は、かき揚げ丼1,500円。
超特大のかき揚げがサクサクして絶品。

●ふくだや
岐阜市東栄町2丁目16
Tel. 058-240-0810

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May 09, 2006

さまよう刃/東野圭吾

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東野圭吾の「さまよう刃」を読んだ。
少年犯罪を扱った小説は目新しくないが、
この作品では、レイプされ殺された娘の父が
犯人が未成年と知り、
司法に任せてはおけないと復讐に命をかける。

ワタシも2人の娘の父、
この主人公の気持ちはよくわかる、
ここに登場する「死ななきゃなおらない」ような少年たちでは、
殺してやりたいと思うのも当然だ。
しかしきれいごとを言うようだが、
実際に行動に出るのはやはり問題。
猟銃を持って犯人を追い掛ける主人公の行動には、
違和感を感じずにはいられない。
エンターテイメントとしての評価は高いんだけどね。

というわけで、5段階評価は★★★★

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May 07, 2006

何とかならないのか「亀田の日」

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松坂屋の前を歩いていたら試供(食)品を手渡された。
亀田製菓電子レンジ用ポップコーン「オーヴィル」
レンジでチンするだけで、
お手軽にアツアツのポップコーンが楽しめるという。
4袋もらって早速食べてみた。
やはり出来たてはおいしい!

亀田製菓といえば、
TBSによると、5月5日は「亀田の日」になったという。
亀田あられの日ではなく、ボクシング亀田兄弟の日。
この日、兄弟ともに試合で勝利。
だからといって亀田の日はないだろう、
TBSが何と言おうと、5月5日はこどもの日なのだ。

今まで黙っていたが、
この兄弟がどうしてこれほど受けるのか
ワタシには理解できない。
あの態度や言葉遣いは常識を外れていると思う。
メディア向けの演出とは分かっていても不愉快極まりない。

大体想像はつく。
メディアと組んだ格闘技が大成功をおさめる一方、
衰退するばかりのボクシング業界が、
ショー的要素を加えて巻き返しを図ろうと目論む、
それにTBSが乗った、こんな構図だろう。

対戦相手はどうみても咬ませ犬、
負けるわけがないボクサーを選んでいるので、
当然のようにKO勝ち。
15分くらいのダイジェストですむような試合内容を
ゴールデンタイムに2時間枠とは恐れ入る。
明石家さんまから「黄金のマイク」、
木村拓哉から「黄金のマイクスタンド」が贈られた。
そこまでするのかTBS、もう勘弁してほしい。

ま、ワタシにはどっちが兄でどっちが弟かも不明。
どうやら、勝ったら歌をうたうのが弟らしい・・・

参考までに↓

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May 06, 2006

東京二期会「皇帝ティトの慈悲」

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奇才コンビチュニーが演出するというので話題を集めた
東京二期会「皇帝ティトの慈悲」公演。
ワタシにとってコンビチュニーの体験は、
バイエルン州立歌劇場の「トリスタンとイゾルデ」以来、2回目となる。

とんでもない舞台を見たというのが、今回の第一印象。
コンビチュニーは、音楽までもいじっていて、
賛否両論あるだろうが、
斬新で刺激的な舞台にワタシは酔いしれた。

開幕前、スクリーンに、
ドイツ語で「この有り様では古代ローマと変わらない」
と書かれている。
これから演じられるオペラは現代にも通じるという先入観を
観客に植え付けるわけだ。
率直にいえば、現代の米国批判であろう。
ただ、そんな深読みをしなくても十分楽しめる内容だった。

とにかく演出が斬新。
いくつか挙げてみよう。

序曲が始まるとすぐに舞台の照明が点滅し、
演奏が止まってしまう。
するとステージマネージャーの
「照明、何やってるんだ!」という声が飛び、
また演奏が再開される。

インターバルに主人公のティト役がホワイエに出て
観客と会話したり記念撮影したりしている。
そのまま1階1列目の正面に座りアリアを歌う。

第2幕の幕開け、
大火災後の焼け野原という場面設定で、
指揮者スダーンが焼けこげた燕尾服を着て、
顔を真っ黒に汚して登場。

「心変わり」のアリアの途中で、
ティトは死んでしまう(?)
「お医者様はいらっしゃいませんか?」
と日本語で問いかけるステージマネージャーが現れ、
「医者」が舞台に上り、心臓移植の手術を。
人工心臓が取り付けられたティトは生き返る。

幕が下りてカーテンコールが始まると、
オケは序曲を演奏し、観客は手拍子で盛り上げるという
まるでミュージカルのような仕掛け。

こうやって書くとどたばた劇に思えるが
実際に見てみると、モーツァルトの音楽を徹底的に理解した上での
コンビチュニーの演出であることがよくわかる。

肝心の音楽だが、指揮のスダーン東京交響楽団は、
演出優先の舞台にもかかわらず大健闘。
細かい演技を要求された歌手も、高い水準の歌唱を聴かせてくれた。

●東京二期会・ハンブルク州立歌劇場共同制作
モーツァルト「皇帝ティトの慈悲」
'06.4.23 新国立劇場オペラ劇場

指揮:ユベール・スダーン
演出:ペーター・コンヴィチュニー
公演監督:多田羅 迪夫
舞台美術:ヘルムート・ブラーデ
照明:マンフレート・フォス
演出助手:ヴォルフガング・ビュッカー/高岸 未朝
舞台監督:幸泉 浩司

管弦楽:東京交響楽団
合唱:二期会合唱団

ティト:高橋 淳
ヴィテッリア:吉田 恭子
セルヴィーリア:菊地 美奈
セスト:谷口 睦美
アンニオ:穴澤 ゆう子
プブリオ:大塚 博章

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May 05, 2006

松任谷由実コンサートツアー

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GW唯一のお楽しみ、ユーミンのコンサートに出掛けた。
相変わらずの凝りに凝ったステージ構成で、
2時間のポップス・ショーを堪能した。

今回のテーマは夏そして海。
ステージには左側にらせん階段が付いた大きな灯台がそびえ、
右側にはカラフルなコテージ。
水色を基調としたワンピースで登場したユーミン、
白い麦わら帽子をかぶった様子は、
さながらモネの「日傘の女」。

以降、何度も衣装を変え、
アンコールでは、
Tシャツにサスペンダー付きのぶかぶかのパンツ。
年齢を感じさせないファッションは、
ライブの楽しみのひとつだ。

さて、今回は今までにも増して演出が巧みであった。
もうすぐ発売になる新アルバムの曲が中心とはいえ、
テーマに沿った選曲は、
事前に情報を入手していたものの、
実際に生で見聞きすると1曲1曲が新鮮に感じる。

特に感心したのは照明。
「リフレインが叫んでる」から「WANDERERS」までの3曲は、
めくるめく照明の嵐に圧倒された。

アンコールを3曲の後、
メンバー全員と一緒にクルマに乗ってポーズ。
シャッター音が聞こえたと思ったら、
ステージ脇のスクリーンに、その場面のモノクロ写真が映る。
見事なエンディングだった。

●松任谷由実コンサートツアー2006
“THE LAST WEDNESDAY TOUR”
'06.5.5 名古屋市レインボーホール
 ※カッコ内は収録アルバム

1 ただわけもなく(Wings Of Winter, Shades Of Summer)
2 セイレーン(スユアの波)
  MC
3 Blue Planet(A GIRL IN SUMMER)
4 海に来て(A GIRL IN SUMMER)
5 夕涼み(PEARL PIERCE)
6 哀しみのルート16(A GIRL IN SUMMER)
7 稲妻の少女(OLIVE)
8 ルージュの伝言(COBALT HOUR)
  MC
9 シーズンオフの心には(SURF&SNOW)
10 Hello,my friend(THE DANCING SUN)
11 やさしさに包まれたなら(MISSLIM)
12 あなたに届くように(A GIRL IN SUMMER)
13 虹の下のどしゃ降りで(A GIRL IN SUMMER)
14 もうここには何もない(A GIRL IN SUMMER)
15 TYPHOON(VOYAGER)
16 リフレインが叫んでる(Delight Slight Light KISS)
17 LATE SUMMER LAKE(ダイアモンドダストが消えぬまに)
18 WANDERERS(LOVE WARS)
  MC
19 時空のダンス(A GIRL IN SUMMER)
20 Escape(A GIRL IN SUMMER)
21 埠頭を渡る風(流線形’80)
アンコール
1 守ってあげたい(昨晩お会いしましょう)
2 Forgiveness(A GIRL IN SUMMER)
3 DESTINY(悲しいほどお天気)

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May 04, 2006

町長選挙/奥田英朗

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風邪をひいて寝ている間に、
積んだままになっている本を何冊か読んだ。
まずは奥田英朗の「町長選挙」。

イン・ザ・プール」「空中ブランコ」の精神科医、
伊良部一郎が、またまた登場する。
4編の短編から構成され、うち3編はパロディ。
伊良部医師が有名人を診察するというシリーズで、
読めばだれでもモデルが分かる。
「オーナー」は、読売新聞グループの渡辺恒雄(ナベツネ)
「アンポンマン」は、livedoor前代表取締役社長の堀江貴文(ホリエモン)
「カリスマ稼業」はたぶん、女優の黒木瞳

伊良部医師の傍若無人な態度は、
相手が有名人になっても変わらない。
ハチャメチャのようで、
固定観念を打ち破るような発想は
時に、目からうろことなる。
看護士のマユミちゃんが今まで以上に活躍するのが
ワタシとしてはうれしい。

最後の「町長選挙」は、東京都の離島内での選挙の話。
これも痛快な一編だが、
地方自治に少なからずたずさわっている私は
すべてを笑い飛ばすわけにいかなかった。
ここまでひどくないにしろ、
首長選挙の結果、
用務員のような仕事をさせられた事例は
いくつも聞いたことがあるから。

というわけで、5段階評価は★★★★

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May 03, 2006

GWだというのに・・・

Koori


ゴールデンウィークだというのに、
風邪をひいてしまった。
のどは痛いし、咳や鼻水は出るし、
夜も寝られない状態。
日曜日までに、何とか治さないと。
来週は忙しいんだ〜

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May 01, 2006

さくら/西加奈子

Sakura


仕事が忙しく読書の時間が取れない中、
やっとのことで読んだのが西加奈子の「さくら」。

この時期にぴったりのタイトルだと思って手に取ったのだが、
特に季節には関係なく、
さくらとは主人公の飼っている犬の名だった。

人もうらやむ家族が、
妹のちょっとした行為で、
幸せの絶頂からどん底に落ちていく。
ネタばれになるので多くは書かないが
後半はちょっとせつなくなる内容。

そんな家族に犬のさくらがいる。
さくらがいてくれるから皆、助けられている。

この本は、家に犬がいるかどうかで
ずいぶん印象が違うのだろうな、きっと。
私の周りにも犬が家族、という人は多い。
小説や映画に犬が出てきただけで、
もうダメ、という人も少なくない。

わが家にさくらはいないので、
今ひとつ感情移入できなかった。

というわけで、5段階評価は★★★

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