告白/町田康
町田康の長編「告白」を読んだ。
これは人間の本質に迫った大傑作である。
昨年発表になった小説の中では
奥田英朗の「サウス・バウンド」が一番面白かった。
傑作と評したが、それを上回る、とんでもない作品なのである。
明治23年に起きた事件「河内十人斬り」がモデル。
熊太郎と弥五郎の2人が、金と痴情のもつれから
一家10人を惨殺するという猟奇的な事件を
コメディタッチで描いている。
ワタシはまったく知らなかったが、
これ、関西では有名な話らしい。
とにかく700余ページというボリュームと、
コテコテの河内弁に圧倒された。
笑いが満載で、しかもテンポがよい。
何しろこの時代に、登場する兄弟の名前が
葛木ドールと葛木モヘア、
何だよこれ(笑)
印象に残るエンディングも見事。
熊太郎の口から息のような声が洩れた。
「あかんかった」
銃声が谺(こだま)した。
白い煙が青い空に立ちのぼってすぐに掻き消えた。
ひたすら、涙、涙・・・
というわけで、5段階評価は★★★★★
文句なしの満点。
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