ミュンヘン(スティーヴン・スピルバーグ監督)
ユダヤ系アメリカ人のスティーヴン・スピルバーグだからこそ
完成させることができた渾身の傑作「ミュンヘン」。
「シンドラーのリスト」のときもそうだが、
監督としての執念のようなものを感じる。
ほとんどの日本人が忘れてしまった、
ミュンヘン・オリンピックの選手村で起きた悲劇を、
克明に再現している。
リアル過ぎて、どこまでがノンフィクションで、
どこからがフィクションかが分からないくらいだ。
テロに対してはテロで報復するという、
終わることのない、そしてすくいようのない報復の連鎖には、
吐き気さえもよおしてしまう。
この映画、パレスチナ問題にそこそこの知識がないと、
置いていかれてしまうかもしれない。
米国のCIA、旧ソ連のKGBはともかく、
イスラエルのモサドといわれても
知らない人が少なくないであろう。
映画のエンディングに映るのは、
テロで倒壊した、ニューヨークのワールドトレードセンター。
またここでも報復の連鎖が始まる。
何とも重苦しい最後だった。
というわけで、5段階評価は★★★★
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