March 28, 2006
March 26, 2006
死神の精度/伊坂幸太郎
音楽をこよなく愛し、時間があればCDショップに入り浸る
ユニークな死神・千葉が主人公。
情報部(?)からの指示で人間に近づき、
7日間のうちにその人間が死んでもいいかを判断、
「可」であれば8日目にその死を見届けるのが千葉の仕事。
不慮の事故や殺人がからんでくる
シリアスな内容であるのに、
伊坂流の笑いのセンスがちりばめられて、
極上のエンターテイメントに仕上がっている。
連作短編集の形を取っており、
最後の「老婆対死神」で、
それまでの短編がつながってくる。
いつもことながら、見事な構成に脱帽。
さらには装幀、満点!
(写真=藤里一郎、装幀=関口聖司)
というわけで、5段階評価は★★★★★
March 24, 2006
芝焼き
春分の日に、庭の芝焼きをした。
本来は新しい芽が出てくる前の作業だが
週末は何かと忙しく、3月中旬となってしまった。
実は芝焼きをするのは初めて。
最初、なかなか火がつかず
やっとついても小さな炎で
これでは焼き終わるまでに何時間かかるのだろうと思っていた。
ところが途中から急に炎が大きくなって
どんどん燃え広がっていくではないか。
準備していたホースを使い、急いで周辺に水をかけた。
白い煙が空を覆い、冷や汗をかいてしまった。
その後、エアレーションといって、
芝に穴を開けて空気を入れる作業をした。
これがなかなか大変な労力で、実はまだ終了していない。
新しい目土も入れなければならないし、
美しい芝を育てるためにやるべきことは山ほどある。
今週末までには作業を終えたいとは思ってるのだが・・・
March 21, 2006
ナラタージュ/島本理生
評判の島本理生「ナラタージュ」、
大学生が書いた恋愛小説を年甲斐もなく一気読みした。
ナラタージュとは、映画などで、
主人公が回想の形で、過去の出来事を物語ること。
この小説ではプロローグで、
主人公が彼と新しい生活を始めることが描れる。
彼は、彼女の前の恋愛のことを知った上で、ともに生きることを選ぶ。
そして始まる回想譚。
読者は回想の中の主人公の恋愛が
成就しないことをまず知ることになる。
主人公は大学生の工藤泉。
彼女の高校時代の演劇部顧問が葉山先生、
さらに、工藤に恋する大学生の小野君、
この3人の三角関係の物語である。
真面目で不器用な3人、思い通りに物事が進まない。
若い恋はもどかしくて切ない。
葉山先生は、皆より年上のくせに、とてもずるい。
そして優柔不断。
でもワタシには彼を否定できない。
というか、彼の気持ちがよくわかる。
同じような経験があるから。
若い小野君の気持ちもわかるんだなあ、これが。
好きな女性が、前の彼のことを忘れられずにいる、
写真や手紙をいまだに持っている、
深夜に突然電話が掛かってくる・・・
つい体中に熱いものがこみ上げ、力づくの行為に走る。
その胸の痛みをワタシも感じたことがある。
この手の恋愛小説では、
だれもが自分の過去の経験と比べてしまうのではないだろうか。
もちろんワタシもそう。
そして、読み終えたときは、
ごっそりと心を持っていかれた。
というわけで、5段階評価は★★★★★
だれにもすすめたい恋愛小説の傑作。
March 19, 2006
歓びを歌にのせて(ケイ・ ポラック監督)
どうしても見たくて、
上映最終日の最終回に滑り込んだ「歓びを歌にのせて」。
主人公のダニエルは病気が原因で、世界的な指揮者の座を捨て、
幼いころに生活した土地に帰った。
その地でど素人の聖歌隊をトレーニングし、
大会に出るまでに育て上げるというストーリー。
ダニエルという異端児の指導で大きな変革を遂げる聖歌隊。
20代から80代の年齢も職業も思想もさまざまな男女が、
ダニエルという最高の指導者を得て、しだいに力をつけていく過程は
見ていて感動的だ。
しかし彼のような異端児のひとつひとつの言動が、
田舎町の神父をはじめとする保守的な人たちには面白くない。
そこからさまざまいさかいがおきる。
このあたりのエピソードは興味深い。
えーっと思うような意外なラスト。
心臓の発作で苦しむダニエルを待つ、ステージ上の聖歌隊。
この場面での彼らの醸し出すハーモニーには心を揺さぶられた。
しかし発作のきっかけとなった、ダニエルの行動、
つまりコンクール直前に自転車で出掛けるという行為が
どうしても理解できない。
というわけで、5段階評価は★★★★
March 17, 2006
誕生日
今日、3月17日はワタシの誕生日。
といっても特別に何かあるわけでなし、
9時過ぎまで残業して先ほど帰宅した。
残業は会議で、弁当が出たため、
家では食事の準備はしていない。
ケーキもないさみしい誕生日。
仕方がないので明日は
プレゼントを買ってこよう、自分で。
ところでこの3月17日は、
両親の結婚記念日であり、
ワタシが2歳のときに亡くなった祖父の命日でもある。
何かといろいろ因縁のある日なのだ。
March 16, 2006
March 15, 2006
March 13, 2006
ストーンズのチケット
1月に予約したローリンスグトーンズ名古屋公演のチケットが
ようやく手元に届いた。
2月初旬から順に送付手続きをとると聞いてたが、
ちょっと遅すぎる。
1枚1万8千円もするチケット(×4枚)なので、やきもきしていた。
会場はナゴヤドーム、席はアリーナの中央Dブロック、
うーん、期待はずれ。
ただ、サブステージはすぐ目の前なので、
その楽しみはある。
今回のチケット争奪戦を振り返ると、
まずは購入先で悩んだ。
チケットぴあ、ローソンチケットなどは論外。
一番期待できるのはファンクラブだが高額な会費が必要。
このチケットを購入するだけに入会する人も多い。
結果的にはこのルートが良い席を入手できたようだ。
ワタシは招聘元であるJECインターナショナルの先行予約で購入した。
ところで今、一番心配なのは会場が埋まるかどうか。
前回の大阪ドームでもスタンド席は空いていたような記憶が。
アリーナは多分大丈夫だろうけど、スタンド席はがらがらかも。
ともあれ公演は4月5日、楽しんでこよう。
March 12, 2006
THE 有頂天ホテル(三谷幸喜監督)
三谷幸喜監督の大ヒット作品
「THE 有頂天ホテル」を見てきた。
コメディにしては珍しく130分を超える長編。
個性的な役者がそろい、
テンポ良く話が進むため長さを感じなかった。
しかし何かが足りない。
見終わって、オチがあるわけでなく、
爽快感が味わえるわけでなく、
目頭が熱くなるほどの感動があるわけでなく、
結局、なんだったのと聞きたくなる、
そんな物足りなさを感じた。
松たか子をはじめとする女性陣の
説教っぽいセリフも私は嫌い。
やはり三谷は芝居が一番で、
次にテレビドラマ、
映画は彼の得意とするところではないと思う。
というわけで、5段階評価は★★★★
March 10, 2006
祖父
母方の祖父が亡くなった。
105歳、
明治、大正、昭和、平成の時代を生き抜いての大往生だった。
105歳ではピンと来ないかもしれない。
でも1900年生まれ、と聞くと、
とんでもなく大昔のことのような気がする。
もしかして1900年って19世紀(?)
長生きすると、子どもが先に逝くことも少なくない。
私の父方の祖父も97歳まで生きたが、
一番辛かったことは私の父、つまり長男の死であったと
生前、何度もつぶやいていた。
祖父の子どもは、私の母を含め6人、
全員健在であるのが一番の幸せだったかもしれない。
March 07, 2006
告白/町田康
町田康の長編「告白」を読んだ。
これは人間の本質に迫った大傑作である。
昨年発表になった小説の中では
奥田英朗の「サウス・バウンド」が一番面白かった。
傑作と評したが、それを上回る、とんでもない作品なのである。
明治23年に起きた事件「河内十人斬り」がモデル。
熊太郎と弥五郎の2人が、金と痴情のもつれから
一家10人を惨殺するという猟奇的な事件を
コメディタッチで描いている。
ワタシはまったく知らなかったが、
これ、関西では有名な話らしい。
とにかく700余ページというボリュームと、
コテコテの河内弁に圧倒された。
笑いが満載で、しかもテンポがよい。
何しろこの時代に、登場する兄弟の名前が
葛木ドールと葛木モヘア、
何だよこれ(笑)
印象に残るエンディングも見事。
熊太郎の口から息のような声が洩れた。
「あかんかった」
銃声が谺(こだま)した。
白い煙が青い空に立ちのぼってすぐに掻き消えた。
ひたすら、涙、涙・・・
というわけで、5段階評価は★★★★★
文句なしの満点。
March 04, 2006
名演出家・久世光彦
3月2日、希代の名演出家・久世光彦(くぜ てるひこ)が急逝した。
死因は虚血性心不全で突然のことだという。
彼は「寺内貫太郎一家」「時間ですよ」「ムー一族」などの
プロデュース・演出で有名だが、
私は向田邦子の新春ドラマスペシャルを、のがさず見ていた。
ドラマに欠かせないのが、小林亜星の美しい音楽と
黒柳徹子のナレーション。
役者では、加藤治子、田中裕子、小林薫の3人。
時代設定は昭和の10年代で、
この3人はその時代に生きていたのではと
思わせるくらいの名演だった。
数年前にこのシリーズは終了したが
いつかまた撮ってくれる日がくると信じていた。
もうそれもかなわない。
幸いにもほとんどがDVDで発売されている。
彼のこのドラマシリーズは、
“クラシック”として後世に残ることであろう。
March 02, 2006
ミュンヘン(スティーヴン・スピルバーグ監督)
ユダヤ系アメリカ人のスティーヴン・スピルバーグだからこそ
完成させることができた渾身の傑作「ミュンヘン」。
「シンドラーのリスト」のときもそうだが、
監督としての執念のようなものを感じる。
ほとんどの日本人が忘れてしまった、
ミュンヘン・オリンピックの選手村で起きた悲劇を、
克明に再現している。
リアル過ぎて、どこまでがノンフィクションで、
どこからがフィクションかが分からないくらいだ。
テロに対してはテロで報復するという、
終わることのない、そしてすくいようのない報復の連鎖には、
吐き気さえもよおしてしまう。
この映画、パレスチナ問題にそこそこの知識がないと、
置いていかれてしまうかもしれない。
米国のCIA、旧ソ連のKGBはともかく、
イスラエルのモサドといわれても
知らない人が少なくないであろう。
映画のエンディングに映るのは、
テロで倒壊した、ニューヨークのワールドトレードセンター。
またここでも報復の連鎖が始まる。
何とも重苦しい最後だった。
というわけで、5段階評価は★★★★
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