サウスバウンド/奥田英朗
参った、こんなに面白い小説が世の中にはあるのだ。
だから読書はやめられない。
最大級の評価をしたいのが、奥田英朗の「サウスバウンド」。
主人公の上田二郎は、ごくごく普通の小学6年生。
導入部分では、友達との付き合いや
家族との生活が淡々と描かれていく。
しだいに父も母も人に言えないような過去があることがわかってくる。
そんな上田家に、正体不明のアキラおじさんが居候しはじめる。
物語は急展開し、
やがて、父が元過激派の闘士であったことがわかる。
これが第一部の東京編。
第二部では、事情があって家族が西表島に移り住むことになる。
(汲み取り便所と蛾が苦手なワタシには、
そうとは思えない場面もあるが)
「何もなくても、家族が一緒なら暮らしていける」
そんなメッセージにはとても共感する。
ラスト近くになって、思わぬ展開をする。
そんなわけないなと思いながらも、
体中が熱くなってしまった。
ぜひ多くの人に読んでもらいたいので
多くを語るのはやめておこう。
素晴らしい作品だが、一点、
どんな主義・主張があろうとも、
税金を払わず国民の義務を無視するこの一家に
違和感を感じないわけではない。
というか不愉快。
ここだけは減点しておこう。
今のところ、ほぼ無冠のこの傑作、
本屋大賞にはノミネートされている。
ずばり、大賞受賞か。
というわけで、5段階評価は文句なしの★★★★★
追伸
作者はワタシの1学年下で
しかも出身高校はわが母校の近く。
これからも応援していきたい。
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