あの日にドライブ/荻原浩
「もしかしたら、自分には違う人生があったかもしれない・・・」
ワタシのような年齢になってくると、
だれでも一度は、そんな思いに駆られた経験があるはず。
荻原浩の「あの日にドライブ」は、
そんな世代の読者には、ちょっとほろ苦い作品だ。
エリート銀行員だった主人公が、
上司へ吐いた一言をきっかけに職を辞しタクシードライバーに。
いつも過去を振り返りながら「たら」「れば」と夢想することで、
つかの間、現実から逃避するあたりの主人公は
あまりに女々しい。
しかし後半、仕事のこつを覚え、
身の周りの現実を見つめ直すうち、次第に光が見えてくる。
最後は、さわやかなハッピーエンドと言ってよい。
ただ、銀行を辞めざるを得なくなった理由が、
ワタシには理解しがたい。
ダメ行員がリストラされるのなら分からなくはないが、
エリートが支店長に漏らした一言で辞めるというのはどうなんだろう、
説得力に欠けるような気がする。
というわけで、5段階評価は★★★★
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