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February 28, 2006

ASHFORDのブックカバー

book


ブックカバーを探していた。
なかなか思うようなものがなく、
やっと昨日、見つけたのがASHFORD製。
1年ほど前に購入したカードケースと同じ革で、
とても柔らかく手触りも抜群。

布製のブックカバーは、
いろいろな生地やデザインのものが
数多く店頭に並んでいるが、
革製品はそれほど選択肢がない。
そんな中でも気に入った一品で、
読書が進もうというものだ。

ただ、今読んでいる町田康の「告白」は約700ページ、
4センチ近くの厚みがあり、
このブックカバーは使用できなかった。
紀伊国屋の紙カバーを付けたまま読むことになりそう。

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February 26, 2006

「のだめカンタービレ」限定版

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のだめカンタービレ」(二ノ宮知子)15巻の 限定版を予約した。
発売は6月13日だというのに、
この時期に予約を受け付けている。
予約締め切りは2月28日とのことで、
急いで手続きをした。

今回の特典は、何とマングースのぬいぐるみ付き。
これは漫画を読んでいる人なら分かるのだが
中に出てくるキャラクターだ。
お腹を押すと「ギャボッ」と鳴く機能がついている
というからおもしろそう。
1,980 円と少々値が張るが、買わずにはおれない。

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February 24, 2006

天空の草原のナンサ(ビャンバスレン・ダバー監督)

nansa

約1時間30分、幸せな時間を過ごした。
見ているだけで癒される、そんな映画が「天空の草原のナンサ」。

モンゴルの遊牧民の家族に密着し、
ドキュメンタリータッチで作られている。
美しい自然の中でたくましく生きる姿には目を奪われた。
そして、長女のナンサをはじめ、
登場する役者(という言い方は違和感があるが)の表情が抜群にいい!
子どもたちにはどんな演技指導をしたのだろう。
カメラをまったく意識していないのではないか。

そして子どもたち以上の演技を見せてくれたのは、犬のツォーホル。
カンヌ国際映画祭で「パルムドッグ賞」を受賞したというから笑える(^^;)

いい映画とか、名画でなく
「愛すべき映画」と、人に紹介したい。

というわけで、5段階評価は★★★★★

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February 22, 2006

高校受験

今日は公立高校の「特色化選抜」合格者発表日。
長女は、ありがたいことに「合格」した。
一般選抜は3月中旬なので、
他の生徒より1カ月早く決まったことになる。

しかしわが県の「特色化選抜」は問題が多すぎる。
定員の20パーセントほどの募集で、競争率は軒並み4〜8倍。
長女の受験校も7.89倍、
8人に1人しか合格しないという狭き門だ。
公立高校の受験機会が2回になるのはメリットかもしれないが、
保護者からは評判が悪い。

ほとんどの生徒は、この特色化選抜で受験する高校が第一志望であるため、
合格は難しいとわかっていても、
実際に不合格となると大きなショックを受ける。
一般選抜までショックを引きずってしまう生徒もいる。
さらに、合否により友達関係も難しくなると聞く。
独自入試試験問題を作らなければならないなど、
高校の現場からも反対の声を聞く。
こんな悪い制度は早くやめてもらいたい。

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February 21, 2006

プライドと偏見(ジョー・ライト監督)

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読んだことはないが「ハーレクインロマンス」って
きっと、こんなんだろうなと思う。
プライドと偏見」は、
女性にはたまらない映画かもしれないけど、
男性の中には、ちょっと引く人も少なくないはず。
でもワタシはそこそこ満足した。
エンディングはあまりにもご都合主義じゃないのと思ってはみても
感動じんわり、良い映画だなと納得してしまう。

さてこの映画、役者がそろっている。
父親役のドナルド・サザーランドは、
風格ある演技で映画全体を締めている。
嫌な役柄だが、キャサリン夫人も存在感は抜群。
あとで調べたらジュディ・デンチ、オスカー女優だった。

5人姉妹の次女がヒロインで、演じるのはキーラ・ナイトレイ
気が強いけどかわいい女性を演じきっていた。
それ以上にワタシ好みなのは、長女役のロザムンド・パイク
清楚な美しさに魅了された。
これからも注目しよう。

すべて英国内で撮影されたという、
美しい自然や建築、豪邸内の豪華絢爛な家具、彫刻は
一見の価値あり。

というわけで、5段階評価は★★★★★

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February 20, 2006

いつかパラソルの下で/森絵都

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本の雑誌」で評価が高かったので手に取ってみたのが、
森絵都の「いつかパラソルの下で」。
本の表紙は美しい砂浜の写真、
さてどんな話なんだろうと思いきや、
いきなりsexシーンから始まったのには驚いた。

物語は、厳格な父から逃げ、家を飛び出した主人公が、
亡くなったばかりの父が生前不倫をしていた事実を知る。
そして兄妹と一緒に父の故郷、佐渡で、
父の過去を探ろうとする・・・

うーん、コメディタッチで、テンポも良く
つまらない小説ではないけど、
父にしろ、恋人の達郎にしろ、
こういう描き方はないんじゃないのと言いたい。
著者は、男心をあまりご存じないものと思われる。

でも好きなシーンがある。
佐渡で親戚の人たちと深酒をし、
翌朝、ひどい二日酔いになった3兄妹が、
「イカイカ祭り」(笑)の話を聞いて、急に元気になる。
ヘンな兄妹だけど、みんなイカが大好物、
兄いわく「あー、なんも食いたくねえ。でも、イカなら食いてえ」
で、祭りに出掛け、吐くまでイカを食べる、という場面。
笑ったよ〜〜

というわけで、5段階評価は★★★

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February 19, 2006

理想の女(マイク・バーカー監督)

risou


試写会で「理想の女(ひと)」を見てきた。

メグとアーリン夫人、
主役であるこの2人の女性から、
ワタシは魅力を感じることができなかった。
特にアーリン夫人役のヘレン・ハント
男どもを手玉に取る、百戦錬磨のワケアリ女には見えない。
メグ役のスカーレット・ヨハンソン
あのくちびるが個人的にはどうも・・・

ストーリーは謎解きになっているのだが、どうも中途半端。
ほころびがたくさんあるように見える。
未読ではあるけれども、
オスカー・ワイルドの原作はもっと面白いのでは。
映画は原作を超えられなかったということか。

ただし、世界遺産でもあるイタリアのアマルフィー海岸
美しいロケーションは一見の価値あり。
登場人物のファッションも、男女ともエレガント。

というわけで、5段階評価は★★★

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February 18, 2006

夜市/恒川光太郎

yoichi


第12回日本ホラー小説大賞受賞作ということで、
ずっと気になっていた恒川光太郎の「夜市」を読んだ。
審査員が大絶賛しただけあり、なかなかの傑作だ。
第134回直木賞候補にもなっている。

大学生のいずみは、高校の同級生・裕司に誘われ「夜市」を訪れる。
ここでは「黄泉(よみ)の河原の石」や「なんでも斬れる剣」など
不思議ものを売る市場が開かれていた。
そこで聞かされたのは、子どものころ夜市に迷い込んだ裕司が、
弟を売って野球の才能を購入、夜市から抜け出したという過去。
そして裕司はこの日、弟を買い戻すために、
またここを訪れたのだった・・・

ホラーというよりファンタジーという色が強い。
端正な文体で、異界の出来事を、
鮮やかに描き出しており、
夜市の情景が鮮明に思い浮かぶ。

併録された中編「風の古道」も味わい深い。
切なくて、目頭が熱くなってしまった。

というわけで、5段階評価は★★★★★

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February 16, 2006

イッツ・オンリー・トーク/絲山秋子

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沖で待つ」で第134回芥川賞を受賞した絲山秋子のデビュー作で
第129回の同賞候補作となった「イッツ・オンリー・トーク」を読んだ。
表題作と「第七障害」の2編の短編が収められている。
タイトルや表紙のイラストから、
もっと明るい恋愛小説をイメージしていたのだが、
これが重い、重い・・・

前者は、一人暮らしをする主人公の女性と、
取り巻きの男性たちの日常を淡々と描いた小説。
EDの都議会議員、いい年の居候、
ネットで知り合った痴漢、うつ病のヤクザなど、
個性的な男性が登場する。
この作家、ダメ男を描いたら日本一かもしれない。

もう1編は、ずいぶん作風が違う。
詳細は略。

「袋小路の男」を読んだときにも感じたのだが、うまい作家だ。
端正な文体は本当に美しい。
ただ、ワタシにとっては好きなタイプの小説ではない。

というわけで、5段階評価は★★★★

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February 13, 2006

XBOX360用のゲームソフトが当たった!

habanero

地元タウン誌のプレゼントコーナーに応募したら
ゲームソフトが当たった。
XBOX360用の「エム エンチャント・アーム」というソフトで、
暴君ハバネロ」ヴァージョンに非売品。
あの辛口スナック菓子「暴君ハバネロ」の
リニューアル記念で限定作成されたもの、相当レアのようだ。
おまけに暴君ハバネロも1袋、
PR用に同封されていた。

当然のことながらこのソフトで遊ぶには、XBOX360本体が必要。
そしてわが家にはこのゲーム機がない。
というわけで、封を開けることもなく、
売っ払われる運命なのであった。

ところでこのタウン誌のプレゼント、
当たる、当たる、
今まで、外れたことの方が少ないくらいだ。
今月はこのソフトと、ペア試写会券が当たった。
どうなってるんだろう。
よほど私の運がいいのか、応募者が少ないのか、
たぶん後者だと思う。

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February 12, 2006

あの日にドライブ/荻原浩

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「もしかしたら、自分には違う人生があったかもしれない・・・」

ワタシのような年齢になってくると、
だれでも一度は、そんな思いに駆られた経験があるはず。
荻原浩の「あの日にドライブ」は、
そんな世代の読者には、ちょっとほろ苦い作品だ。

エリート銀行員だった主人公が、
上司へ吐いた一言をきっかけに職を辞しタクシードライバーに。
いつも過去を振り返りながら「たら」「れば」と夢想することで、
つかの間、現実から逃避するあたりの主人公は
あまりに女々しい。

しかし後半、仕事のこつを覚え、
身の周りの現実を見つめ直すうち、次第に光が見えてくる。
最後は、さわやかなハッピーエンドと言ってよい。

ただ、銀行を辞めざるを得なくなった理由が、
ワタシには理解しがたい。
ダメ行員がリストラされるのなら分からなくはないが、
エリートが支店長に漏らした一言で辞めるというのはどうなんだろう、
説得力に欠けるような気がする。

というわけで、5段階評価は★★★★

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February 11, 2006

トリノ冬季オリンピック開会式

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トリノ冬季オリンピックの開会式を見た。
午前4時開会というのは微妙で、
ライブで見たいのはやまやまだが、睡魔には勝てず録画にした。

いやあ、素晴らしかった。
見事な構成、演出、照明、コスチューム、ダンス・・・
もう言葉にならない。
驚くべきゲストが次々登場し、最後はなんと○○○○○○。

ところがここで信じられない事態に。
NHK総合を録画しておいたのだが、
最後の一番盛り上がっている場面で中継が終わってしまった。
どうなってるんだろう、NHKに電話したくなった。
やはりBSを録画すべきだったか。
ともあれ、再放送を見てみよう。

オリンピック最終日、2月26日に行われる閉会式は
開会式以上ににぎやかなカーニバルになるという。
サーカスの曲芸師がフェリーニ監督の映画「道化師」で使われた
オリジナル・コスチュームをまとって登場するほか、
グランドフィナーレには盲目のテノール歌手、
アンドレア・ボチェッリがイタリアを代表して力強く美しい歌声を披露する。
これまた見逃せない。

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February 10, 2006

悪意/東野圭吾

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久しぶりに読んだ東野圭吾作品は、傑作の誉れ高い「悪意」。

この小説では、冒頭で殺人が起き、すぐに犯人が捕まる。
そして彼自身が書いた手記により、
事件が明らかになっていく。
こんな簡単に解決するわけないとは思いながらも
安心して読んでいくと、ここからが著者の真骨頂。
話は二転三転、
手の込んだトリックには感動すら覚えた。

何を書いてもネタばれになるので、こんな程度で勘弁を。

というわけで、5段階評価は★★★★

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February 09, 2006

家守綺譚/梨木香歩

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友人から勧められていた、梨木香歩の「家守綺譚」を読み終えた。

読みづらい作品である。
恥ずかしいことだが、ワタシには分からない日本語がたくさん出てくるので、
何度も中断し、手元に置いておいた電子辞書を引いた。
たとえば第一章の「サルスベリ」だけでも
「栄耀栄華」「賛嘆」「うろ」「矯める」「逸る」「懸想」・・・

じっくりじっくり味わって読むと、
これはもしかすると大変な傑作なのではと思うように、
そして読み終えて確信した、まれにみる傑作だと。

売れない物書きが主人公。
亡くなった親友の実家の家守を頼まれ、
庭木が生い茂る一軒家に引っ越してくる。
そこでは、死んだ親友が掛け軸から飛び出してきたり、
河童や小鬼が登場したり、
奇想天外な出来事が相次ぐ。

ノスタルジックな幻想にひたれる至福の1冊。
ぜひ手元に置いて、何度も読み返したい。

というわけで、5段階評価は★★★★★

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February 08, 2006

裃姿で豆まき

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ちょっと古いネタ。
2月3日の節分の日、
市内の某寺で豆まきをしてきた。

そんなつもりはなかったので、
普通にネイビーのジャケットにチノパンツという姿で出掛けた。
受付を済ませると、裃(かみしも)を着せられ、
読経の後、寒い中を境内で待っていた人たちに向かって、
豆や五円玉をまいてきた。

袴がちょっと短いのか、
あるいは着付けが下手だったのか、
記念写真は、なんかヘン・・・

ちなみにちらっと見える隣で黄色い裃を着ているのが上司。

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February 07, 2006

優しい音楽/瀬尾まいこ

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瀬尾まいこの「優しい音楽」を読んだ。
短編が3作収められている。
読後の心地よさから、すぐに再読した。

3作ともいい味出しているが、
あえて1作品選ぶとすれば、
同棲中の彼女がホームレスのおじさんを拾ってきて、
奇妙な3人での生活が始まる「がらくた効果」だろうか。

他の2作の日常を描きながらも、
意表をつく設定で読者を驚かせる。
しかし、読むにつれ何ともいえない安心感を味わえる
不思議な作品ばかり。
瀬尾まいこ、気になる作家の一人となった。

というわけで、5段階評価は★★★★★

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February 06, 2006

スーパーボウルのハーフタイムショー

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毎年豪華なハーフタイムショーが見られる
アメリカ合衆国最大のスポーツイベント「スーパーボウル」。
今年登場したのは、な、な、なんと、ザ・ローリングストーンズ!!!

生で中継されるが、朝8時からなので視聴不可能。
早々に仕事を切り上げ、帰宅してからNHK-BS1の再放送を見た。

すげー、かっこいい〜〜

“Start me up”と“Satisaction”
たった2曲だったけど、まあ満足。
本当は3曲演奏したのだが、
再放送では1曲カットされた、どうして?

来日公演ではもちろん2曲ともセットリストに入っている。
期待は高まるばかりだ。


今ならココで見られるよ。

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February 05, 2006

砂の器(野村芳太郎監督)

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日本映画史上に残る感動大作「砂の器」の
デジタルリマスター版を見てきた。

高校時代に感銘を受けてはや30年、
今回もまた、号泣してしまった。
原作松本清張、ただし映画は別物と思った方がいい。
あの傑作ミステリーを2時間半の映画にまとめることは不可能に近い。
端折った場面が多く、特に和賀の心裏は描き切れていない。

それでも評価が高いのは、
後半部分、捜査会議が始まり、
和賀が弾き振りをするピアノ協奏曲「宿命」のコンサート、
そして、和賀の脳裏をよぎる回想が
同時に進行する場面の高揚感であろう。
これほどの高揚感を他の映画で味わったことがない。
中でも、刑事(丹波哲郎)が訪れた隔離病棟で、
和賀の実父(加藤嘉)が成長したわが子・和賀の写真を見せられ、
“おら、こんな人知らねぇ!”と泣き叫ぶ場面は、
ただただ涙・・・

というわけで、5段階評価は★★★★★

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February 04, 2006

千夜千曲<33>リッチ・ガール/ニーナ・シモン

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ニーナ・シモンのアルバム「ボルチモア」に
収録されている「リッチ・ガール」は、
言わずとしれた、D.ホール&J.オーツのヒット曲。
ニーナはこの名曲をソウルフルに歌い上げている。

このアルバムをを初めて聴いたのは、
学生時代にアルバイトをしていたDAC渋谷という店。
東急文化会館内にあった第一家庭電器のオーディオ専門店で、
当時は狭いながらも土地柄、結構売り上げはあったかと思う。
第一家電はその後経営破綻、文化会館のビルも今は解体されている。
そのDAC渋谷でオーディオチェックに使われていたのが
CTIレーベルから出ていたこのアルバム。

声を聴いて男性シンガーかと思っていた。
しかし名前やジャケットの顔は女性のようだ。
ライナーでやっと女性ジャズシンガーであることを知った。

余談になるが・・・
もう10年近く前、綾戸智絵のライブを、
名古屋のYAMAHAホールで偶然聴く機会があった。
ジャズというカテゴリーにとらわれず、
ピアノを弾きながら、ゴスペルをベースに
圧倒的な歌声を聴かせてくれた。
あ、この人は日本のニーナ・シモンだと思った。
以降、ワタシの「綾戸智絵」追っ掛けが始まった。

ニーナ・シモンはファースト・アルバムも素晴らしい。
「リトル・ガール・ブルー」「アイ・ラブ・ユー・ポーギー」など
名曲ぞろいで必聴。

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February 03, 2006

ゲルギエフ指揮マリンスキー歌劇場管弦楽団 豊田公演

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「ニーベルングの指環」チクルスに続いて、
ゲルギエフ&マリンスキー歌劇場管弦楽団は
オーケストラ公演を続けている。
豊田市での公演を聴いてきた。

ゲルギエフの指揮はリングの4回を除けば、
オーケストラ公演が5回目で、
前回はウィーンフィル。
チャイコフスキー4番の完璧なまでの金管が印象深い。
今回は指揮者もオケも、さすがに疲労の色が見え隠れした。

「ホヴァンシチナ」前奏曲は初めて聴く曲で、
まったく予習をしていかなかった。
美しい弦が印象的だった。

モーツァルトは、20年ぶりくらいに見た清水和音がソロを弾いた。
これがモーツァルト?という個性的な弾き方で、
好き嫌いが分かれるところだろう。
ピアノより、予想外に健闘したオケをほめたい。

20分の休憩のあとはショスタコ−ヴィッチ。
予想に反して、1楽章から遅めのテンポで入った。
終始落ち着いた演奏を続け、
4楽章のフィナーレでは猛烈なクレッシェンド、
弦、管、打楽器が鳴り響いて終わる。
ウィーンフィルと比較するべきではないだろう、
ロシアのオケらしく、少々荒くてもスカッとする演奏だった。

●ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団
'06.1.28 豊田市コンサートホール

ムソルグスキー/歌劇「ホヴァンシチナ」前奏曲“モスクワ河の夜明け”
モーツァルト/ピアノ協奏曲第26番ニ長調「戴冠式」 
 pf:清水和音
(休憩)
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番ニ短調

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February 02, 2006

サウスバウンド/奥田英朗

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参った、こんなに面白い小説が世の中にはあるのだ。
だから読書はやめられない。
最大級の評価をしたいのが、奥田英朗の「サウスバウンド」。

主人公の上田二郎は、ごくごく普通の小学6年生。
導入部分では、友達との付き合いや
家族との生活が淡々と描かれていく。
しだいに父も母も人に言えないような過去があることがわかってくる。
そんな上田家に、正体不明のアキラおじさんが居候しはじめる。
物語は急展開し、
やがて、父が元過激派の闘士であったことがわかる。
これが第一部の東京編。

第二部では、事情があって家族が西表島に移り住むことになる。
(汲み取り便所と蛾が苦手なワタシには、
そうとは思えない場面もあるが)
「何もなくても、家族が一緒なら暮らしていける」
そんなメッセージにはとても共感する。

ラスト近くになって、思わぬ展開をする。
そんなわけないなと思いながらも、
体中が熱くなってしまった。
ぜひ多くの人に読んでもらいたいので
多くを語るのはやめておこう。

素晴らしい作品だが、一点、
どんな主義・主張があろうとも、
税金を払わず国民の義務を無視するこの一家に
違和感を感じないわけではない。
というか不愉快。
ここだけは減点しておこう。

今のところ、ほぼ無冠のこの傑作、
本屋大賞にはノミネートされている。
ずばり、大賞受賞か。

というわけで、5段階評価は文句なしの★★★★★

追伸
作者はワタシの1学年下で
しかも出身高校はわが母校の近く。
これからも応援していきたい。

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February 01, 2006

ニーベルングの指環 第三夜「神々のたそがれ」(マリンスキー劇場)

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まずは「ニーベルングの指環」を
チクルスで見ることができた幸運を喜びたい。
一部のワグネリアンからしてみれば、
今回のゲルギエフのプロダクションは、
まったく評価されないものであったらしい。
しかし通して見るのが初めてのワタシには、
まあ満足のいくものであった。
そもそも「指環」の完璧な上演なんていうのは
無理なことだと思っている。

全体を通して、猫の目のようにキャストが変わったが、
そこそこの水準は保っていた。
オケも金管がときどき大きく外すことはあったものの
概ね及第点をあげたい。
特にこの日の、「ジークフリートのラインの旅」と
「葬送行進曲」は迫力ある演奏だった。

問題は演出。
演出家の意図が不明瞭であったのは事実。
歌や演奏を妨げないというように理解すれば、
まあ、大がかりなセミステージ方式だと
割り切って考えることにしよう。
4日間で、休憩を含めると19時間半の得難い体験をした後だ、
すべてを肯定的に考えたいと思う。

●サンクトペテルブルグ・マリンスキー劇場日本公演
ワーグナー:「ニーベルングの指環」第三夜「神々のたそがれ」
06'.1.22 東京文化会館

指揮:ワレリー・ゲルギエフ
演奏:マリンスキー歌劇場管弦楽団
演出:ゲオルギー・ツィーピン

登場人物
ジークフリート:アレクセイ・ステブリアンコ
グンター:アンドレイ・スペホフ
ハーゲン:アレクセイ・タノヴィツキー
アルベリヒ :エデム・ウメーロフ
ブリュンヒルデ:ラリーサ・ゴゴレフスカヤ
グートルーネ:ヴァレリア・ステンキナ
ヴァルトラウテ:ズラータ・ブルィチェワ
ヴォークリンデ:ジャンナ・ドンブロフスカヤ
ヴェルグンデ:リヤ・シェフツォーワ
フロースヒルデ:アンナ・キナーゼ
ノルン1:リュドミラ・カヌンニコワ
ノルン2:スヴェトラーナ・ヴォルコワ
ノルン3:タチアーナ・クラフツォーワ

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