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January 16, 2006

ららら科學の子/矢作俊彦

lalala


新年早々、本を乱読している。
今年4冊目は矢作俊彦の長編「ららら科學の子」、
タイトルにひかれて手にした1冊。

東京で学生生活を送った50代前半の全共闘世代が読むと、
感傷的にならざるを得ない作品だろう。
学生運動、三里塚闘争、文化大革命、ベトナム戦争などが盛り込まれ
テーマとしてはけっして軽くないのだが、
ストーリーはたいへん面白くて、
極上のエンターテイメントに仕上がっている。

主人公は学生運動の最中に起こした事件で指名手配され、
単身、中国に逃亡した。
30年間中国の農村で貧困生活の後、日本に帰ってきた。
このとき50歳、気持ちは10代の少年のような主人公が、
大きく変わってしまった日本と日本人を、
浦島太郎になった気分で見る。
このあたりの描写が実に細やかでうまい。

登場人物はそれほど多くない。
渋谷で出会う女子高校生、昔の友人志垣、
部下の傑(ジェイ)、そのガールフレンド礼子など、
魅力ある人物がそろっていて好ましい。

妹とはいつ会えるのか、
妻とはこれからどうなる・・・
ドキドキしながら読み続けたが、ラストは予想外。
楽天的だが、これもありかなと思った。

というわけで、5段階評価は★★★★★

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