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December 23, 2005

諏訪内晶子 バッハプロジェクト2005

諏訪内晶子の「バッハプロジェクト」と銘打ったコンサートに出掛けた。
その名のとおりJ.S.バッハの作品を中心としたプログラム。

師走の忙しい時期に、会場はほぼ満席。
会話などから、ふだんとは客層が明らかに違うことがわかる。
多くはクラシックファンというより、諏訪内ファン。
まあそれはそれとして・・・

ヨーロッパ室内管弦楽団は8年前、
エマニュエル・クリヴィヌ指揮で
メンデルスゾーン4番「イタリア」を聴いた。
共演したアルゲリッチのベートーヴェン1番のサポートも見事で、
ワタシにとっては、ロイヤルコンセルトヘボウなどとともに
来日したら聴き逃せないオケのひとつ。

この日も、オケだけの演奏は2曲あったが、
どちらも完璧なアンサンブル。
6-6-4-4-2、あるいは4-4-2-1という小編成ながら、
力強さも感じさせる。
そして何よりも、メンバーが皆、
とても楽しそうに演奏しているのに好感が持てた。
今回は弦のみの来日だったが、次回はフルメンバーで来てほしい。

ソリストは諏訪内のほか、
オーボエのフランソワ・ルルーと
ヴァイオリンのチョーリャン・リン。
一番の聴かせどころは、
前半のプログラムの最後に置かれた現代曲、
ヴェレシュ作曲の「パッサカリア・コンチェルタンテ」。
この曲は諏訪内の出番がなく、
ソリスト兼指揮者としてステージに立ったのは
オーボエのルルー。
超技巧の難曲(たぶん)で、
ルルーはソロを吹くときは舞台前のパート譜を見ながら、
指揮するときはオケの前のスコアを見ながらと忙しい。
それを難なくこなしていた。
とてもリラッックスし、ステップを踏むように、
前を向いたり後ろを向いたりしていたのが微笑ましかった。

さて、主役は諏訪内晶子であるべきだが、
個性のない音色であまり印象に残らず、
オケやルルーの陰に隠れてしまった。
一人、真っ赤なドレスに身を包んで目立ってはいたが、
この日の主役はルルーとオケだった。

アンコールは4曲の大盤振る舞い。
拍手が鳴り止まず、
アンコールの最後に諏訪内が、
バッハの無伴奏を演奏したのもシナリオどおりか。
観客の多くは彼女のヴァイオリンに満足し、
ワタシはルルーとヨーロッパ室内管に感心して会場を後にした。

●諏訪内晶子 バッハプロジェクト2005
'05.12.21 愛知県芸術劇場コンサートホール
ヴァイオリン:諏訪内晶子
室内楽:ヨーロッパ室内管弦楽団
オーボエ:フランソワ・ルルー
ヴァイオリン:チョーリャン・リン

ヘンデル/合奏協奏曲変ロ長調
J.S.バッハ/ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ニ短調
  vn:諏訪内晶子 ob:フランソワ・ルルー
ヴェレシュ/パッサカリア・コンチェルタンテ
  ob:ルルー
(アンコール)
テレマン/12のファンタジーより第3番
  ob:ルルー

(休憩)

J.S.バッハ/ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調
  vn:諏訪内
C.P.E.バッハ/シンフォニア第5番ロ短調
J.S.バッハ/2つのヴァイオリンのための協奏曲ニ短調
  vn:諏訪内、チョーリャン・リン
(アンコール)
サラサーテ/ナヴァラ
  vn:諏訪内、リン
バルトーク/44の民謡より ピチカートバグパイプ
  Vn:諏訪内、リン
J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリンソナタより“ラルゴ”
  Vn:諏訪内

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