新国立劇場「アンドレア・シェニエ」
ジョルダーノ作曲のオペラ「アンドレア・シェニエ」を
新国立劇場で観てきた。
このオペラ、なかなか機会がなく、
生は今回が初めて。
演出はフィリップ・アルロー。
フランス革命を扱ったオペラだけに、
その象徴とでも言うべき「ギロチン」を効果的に使っている。
1、2幕の幕間に映し出されるのはギロチンの設計図。
それが規則正しいドラムの音に合わせて
次第に数が増していく場面などは背筋がぞっとした。
セットがすべて斜めなのは、ギロチンをイメージしているのだろう。
目まぐるしく回る舞台も効果的。
たぶんこの時代の混乱した世相を表しているのだと思う。
幕切れは明るい将来の暗示か。
見事に決まり、大きな拍手が上がった。
問題は音響。
効果音としてのドラムや花火、そしてギロチンの音は
ちょっとやり過ぎでだと思う。
これらの音が本来の音楽のじゃまをしていると感じた。
歌手は、主役級の3人のうち、
ジェラード役のレイフェルクスがダントツ。
マッダレーナ 役のルカーチも悪くない。
ところが、シェニエ役のタナーは問題あり。
最後のマッダレーナとの二重唱は
聴かせどころなのに息切れをしたようで声が出ていない。
結果、オケの音に隠れてほとんど聞こえなかった。
まあ、指揮のマルティネスがオケを
十分コントロールできていなかったのも事実。
日本人歌手は、残念なことにほぼ全滅だった。
全体として、主役級と合唱が及第点、
指揮者と日本人歌手はダメ。
演出は、私としては好み。
トータルすると、満足できるプロダクションであった。
●新国立劇場「 アンドレア・シェニエ」
'05.11.26 新国立劇場オペラ劇場
ジョルダーノ作曲
アンドレア・シェニエ:カール・タナー
マッダレーナ :ゲオルギーナ・ルカーチ
ジェラール :セルゲイ・レイフェルクス
ルーシェ:青戸 知
密 偵:大野光彦
コワニー伯爵夫人: 出来田三智子
ベルシ:坂本 朱
マデロン:竹本節子
マテュー:大久保眞
フレヴィル:石崎秀和
修道院長:加茂下稔
フーキエ・タンヴィル:小林由樹
デュマ:大森一英
家令/シュミット:大澤 建
指揮:ミゲル・ゴメス=マルティネス
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
演出・美術・照明:フィリップ・アルロー
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