小澤征爾音楽塾「セビリアの理髪師」
毎年見続けている小澤音楽塾。
咋年は「ラ・ボエーム」。
“魔術師”カーセンが演出、
ムゼッタ役のアンナ・ネトレプコが印象的な
すばらしい舞台であった。
今年は「セビリアの理髪師」、
大好きで何度も見ているオペラだ。
しかし、小澤の棒でロッシーニはどうかな?
という不安が当たってしまった。
オケは若手ばかりで
キズはそこそこあったものの、我慢できる範囲。
それより、何よりも躍動感を求めたいロッシーニなのに、
オケは全然乗れない。
これは小澤の責任であろう。
フルートの工藤さんや、オーボエの宮本さんなど塾生の指導者も
オケのなかに紛れて一緒に演奏している年もあったが
この日は顔を見なかった。
歌手は全体に1幕は低調、2幕になってから持ち直したという印象。
フィガロ役のパトリアルコ、若くて元気があるのはいいが
歌は一本調子だった。
伯爵役のオズボーン、悪くはないがムラがある。
ロジーナ役のドノーゼ、歌はともかく外観は良かった。
一番の期待外れはバルトロ役のプリシュカ、
さすがに演技はうまいものだ。
でも肝心の歌は声が出ていなかった。
体調が悪かったのだろうか。
ニースの演出に関しては、可も無く不可も無くといった
いたってオーソドックスなもの。
前回見た「セビリアの理髪師」は、
ガッティ指揮ボローニャ歌劇場、
フローレスの伯爵,カサロヴァのロジーナ,ヌッチのフィガロという
役者ぞろいの名舞台だった。
小澤音楽塾との比較が酷であることは分かっているけど、
もうちょっとハイレヴェルの公演を期待していたので・・・残念。
まあ、楽しめたんだけどね、大好きなオペラだから。
●小澤征爾音楽塾オペラプロジェクトⅥ
ロッシーニ作曲「セビリアの理髪師」
'05.10.13 愛知県芸術劇場大ホール
ロジーナ:ルクサンドラ・ドノーゼ
アルマヴィーア伯爵:ジョン・オズボーン
フィガロ:アール・パトリアルコ
バルトロ:ポール・プリシュカ
バジリオ:ドナート・ディ・ステファノ
ベルタ:ジュディス・クリスティン
音楽監督・指揮:小澤征爾
演奏:小澤征爾音楽塾オーケストラ
合唱:小澤征爾音楽塾合唱団
演出:ディヴィッド・ニース
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