MOMENT/本多孝好
この歳になって、本多孝好や伊坂幸太郎を好きだというのは、
劇団キャラメルボックスを今でも見ているのと同じで
ちょっぴり恥ずかしい。
でも、また読んでしまった、本多孝好の連作短編集「MOMENT」。
大学4年生の主人公は就職の当てもなく、病院で掃除のアルバイトをしている。
病院にはひとつの噂があった。
死を目前にした人だけに、願い事をかなえてくれる仕事人が現れる・・・
4人の患者の4つの願い事が
「FACE」「WISH」「FIREFLY」「MOMENT」の表題で書かれており、
どれも意外な方向に展開していく。
目次では、それぞれACT.1、ACT.2、ACT.3、
そして最後の「MOMENT」はTHE FINAL ACTとなってるので、
短編集というより長編小説なのかもしれない。
死をテーマにしている。
悲しさというより、切なさを感じる。
ときには暖かささえ感じるのはなぜだろう。
本多マジックというのは大げさかな。
4作の中では、心臓に異状がある14歳の少女が登場し、
意外な結末を迎える「WISH」が好きだ。
乳ガンが再発した20代女性が描かれた「FIREFLY」の切なさにも
捨てがたい魅力がある。
残念なのは、締めの4作目「MOMENT」。
主人公の言動は理解できないし、愉快ではなかった。
というわけで5段階評価は、ひとつマイナスの★★★★。
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Comments
こんばんは。またしてもお邪魔させていただきました。私も、先日Moment を読んだばかりだったので。私も4作の中ではwishが一番好きです。やられた~と思いました。
Posted by: あきぽん | October 12, 2005 11:30 PM
あきぽんさん
いつものぞいていただき、ありがとうございます。
Momentは、文庫本が出たばかりだったのですね。
私はルチオ・フォンタナの絵を使った
単行本の装丁のほうが好きです。
とても鮮やかな青色です。
一度、本屋で見てください。
Posted by: るうかす | October 14, 2005 07:18 PM