バイエルン国立歌劇場「タンホイザー」
バイエルン国立(州立)歌劇場を初めて見たのは、
ルチア・ポップが元気なころの「フィガロの結婚」、
そして続けて市川猿之助演出が話題となった「影のない女」。
次が前回来日の「トリスタンとイゾルデ」、
この日の「タンホイザー」は4本目となる。
私にとってタンホイザーは特別。
生まれて初めて見たオペラだから。
会場はニューヨークのメトロポリタン・オペラハウスだった。
さて、芝居好きの私は、どうしても演出が気になってしまう。
今回はデヴィッド・オールデン演出のプロダクション、
謎解きのようなわくわく感は最後まで続いた。
とても10年前につくられたとは思えない斬新さを備えた演出であった。
歌手や合唱団に相当の演技力を要求しており、
おもしろいと感じる一方で、意味不明の動きも少なくなく、
時にそれが邪魔に感じることもあった。
歌手は、全員高いレベルで、ほぼベストのキャストといってよい。
その中で特に印象に残ったのは、
領主へルマン役のサルミネン、ヴォルフラム役のキーンリサイド、
エリザベート役のピエチョンカ。
特にピエチョンカは、声に艶があり、
期待していたヴェーヌス役のマイヤーが
今ひとつだったこともあって、一人目立っていた。
これからも楽しみなソプラノだ。
指揮のメータ。
今まで何度も聴いているが、
これは!という演奏に出会ったことがない。
前日聴いたレック指揮東フィルが良かっただけに失望した。
小さなキズはともかく、アンサンブルが崩壊寸前のところもあって
ハラハラさせられた。
困ったものだ。
以上、いくつか不満は残るものの、全体としては十分楽しませてもらった。
●バイエルン国立歌劇場「 タンホイザー」
'05.9.24 東京文化会館
R.ワーグナー作曲
タンホイザー:ロバート・ギャンビル
領主へルマン:マッティ・サルミネン
ヴォフラム・フォン・エッシェンバッハ:サイモン・キーンリサイド
エリザベート:アドリアンヌ・ピエチョンカ
ヴェーヌス:ワルトラウト・マイヤー
ヴァルター・フォン・フォーゲルヴァイデ:ウルリッヒ・レス
ビッテロルフ:トム・フォックス
ハインリッヒ・デア・シュライバー:ケネス・ロベルソン
ラインマル・フォン・ツヴェター:スティーヴン・ヒュームズ
指揮:ズービン・メータ
演奏:バイエルン国立歌劇場管弦楽団
合唱:バイエルン国立歌劇場合唱団
演出:デヴィド・オールデン
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