新国立劇場 「 ニュルンベルクのマイスタージンガー」
ワーグナー作曲の楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」は、
休憩を入れると6時間余り、ソリストもたくさん必要で、
上演される機会はそう多くない。
私がこの作品を生で鑑賞するのは、
10年ほど前のベルリン・ドイツ・オペラ(デ・ブルゴス指揮)以来、2回目。
このときはゲッツ・フリードリヒの演出が話題を呼んだ。
今回は、新国立劇場05/06シーズンのオープニングを飾ることになった。
9月25日の記事に書いたとおり、
まず特筆すべきは、指揮者のレック。
東フィルを見事掌中におさめ、
全体に早めのテンポの引き締まった演奏を最後まで続けた。
次に挙げたいのは歌手の頑張り。
この作品はザックス役に尽きる。
若いエーファが慕うわけだから、
歳を取っているとはいえ、大人の魅力を持っていなければならない。
その点で、ペーター・ウェーバーは、声、容姿とも
私のザックス像にぴったり。
ポーグナー役のハンス・チャマー、
威厳のある歌いっぷりは、
この作品を引き締めていた。
演技力が必要なベックメッサー役は、
マーティン・ガントナーが最後まで、見事に演じ切った。
最後に結ばれるヴァルター役のリチャード・ブルナーと、
エーファ(エヴァ)役のアニヤ・ハルテロス。
若々しくて好感が持てた。
そして、ヴァイクルの演出。
彼はザックス歌いで有名、この作品は熟知している。
特に、3幕でのエーファ、ヴァルターとの三角関係は
見ていてハラハラした(良い意味で)。
しかしシンプルでオーソドックスな舞台美術は、ちょっと期待外れ。
これは2日後に見たバイエルン州立劇場と比較すると顕著であった。
もう少し予算があれば、といったところか。
全体的に優れたプロダクションで、
期待以上の出来であった。
●新国立劇場「 ニュルンベルクのマイスタージンガー」
'05.9.23 新国立劇場オペラ劇場
R.ワーグナー作曲
ハンス・ザックス:ペーター・ウェーバー
ファイト・ポーグナー:ハンス・チャマー
クンツ・フォーゲルゲザング:大野光彦
コンラート・ナハティガル:峰茂樹
ジクストゥス・ベックメッサー:マーティン・ガントナー
フリッツ・コートナー:米谷毅彦
バルタザール・ツォルン:成田勝美
ウルリヒ・アイスリンガー:望月哲也
アウグスティン・モーザー:高橋淳
ヘルマン・オルテル:長谷川顯
ハンス・シュヴァルツ:晴雅彦
ハンス・フォルツ:大澤建
ヴァルター・フォン・シュトルツィング:リチャード・ブルナー
ダーヴィット:吉田浩之
エーファ:アニヤ・ハルテロス
マグダレーネ:小山由美
夜警:志村文彦
指揮:シュテファン・アントン・レック
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:新国立劇場合唱団
演出:ベルント・ヴァイクル
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