空中庭園/角田光代
タイトルから連想した内容とは、ずいぶん趣が違っていた。
ある団地に住む家族と、その家族を囲む人々を描いた連作短編小説。
主人公の女子高校生マナ、マナの父母、祖母、弟、父の恋人であり弟の家庭教師と
語り手を順にかえながら、どこにでもいる一般的な家庭の風景を描いている。
「お互いに秘密を持たない」というのがこの家庭の方針。
ところが現実はそうではないことが、次第に明らかになっていく。
明るいホームドラマではない。
グロと言ってもいいかもしれない。
著者の角田光代は、確かな筆致で
それぞれの人間の内面を掘り下げている。
'03年にこの作品で婦人公論文芸賞を受賞、
直木賞候補にもなり、審査員から高い評価を得たが、
決選投票の末、過半数に達せず落選。
今年に入ってから「対岸の彼女」で
第132回の同賞を受賞したことは記憶に新しい。
ということで、この作品の5段階評価は☆☆☆☆☆の満点
ところで、この小説は豊田利晃監督により映画化された。
既に撮影は終了し、今秋の公開を待つばかり。
小泉今日子がマナの母を演じる。
ほかの出演者は、板尾創路、鈴木杏、広田雅裕、ソニン、大楠道代 ・・・
おもしろそうな映画だ。
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Comments
はじめまして。トラックバックさせていただきます。
Posted by: あずさ | November 12, 2005 11:24 PM
あずささん
TBありがとうございます。
映画楽しみですね。
もうご覧になりましたか?
では、これからもお立ち寄りください。
Posted by: るうかす | November 14, 2005 08:06 AM