C・リンドバーグの超絶トロンボーン
トロンボーン界のパガニーニと呼ばれる、クリスチャン・リンドバーグの
リサイタルを聴きに春日井市民会館へ。
パガニーニは、18世紀イタリアのヴァイオリン奏者・作曲家。
その超絶的な演奏テクニックゆえに
「悪魔に魂を売った」という逸話が残っているくらいの天才だ。
リンドバーグがそれほどの超絶技巧であったかどうかは、
トロンボーンを演奏しない私にはわからない。
しかし、会場を埋めた観客からは何度もため息が漏れていた。
そして私も、トロンボーンからこんなに豊かな音色が出るものかと驚きながら聴いた。
観客の多くは、現役の高校ブラスバンド部や大学オケ部の部員。
終演後のサイン会も大変な行列が出来ていたから、
今日のリサイタルには、皆、満足したようだ。
さて、プログラムはというと、ほとんど知らない曲ばかり。
そんな中でも気に入ったのは、
L.モーツァルト作曲の「アルト・トロンボ−ンのための協奏曲」の第2楽章。
また、本人編曲の愛奏曲3曲は、どれもとろけるような甘い曲ばかり。
選曲も見事なものだった。
リンドバーグはサービス精神も旺盛で、
いつも軽やかに駆け足で舞台に登場する。
服装もカジュアルで、かしこまったクラシックのコンサートとは
ずいぶん趣が違う。
会場は演奏中もずっと、なごやかな雰囲気が続いた。
ということで、彼がパガニーニのレベルに達しているかはどうでもいいこと。
トロンボーンおじさんのパフォーマンスを、
2時間あまり、堪能させてもらっただけでも十分だ。
●クリスチャン・リンドバーグ・トロンボーン・リサイタル
'05.2.11 愛知県春日井市民会館大ホール
出演:クリスチャン・リンドバーグ(tb)、白石光隆(pf)
作曲者不詳 / 3つの中世の舞曲
L.モーツァルト / アルト・トロンボ−ンのための協奏曲
C.リンドバーグ / 無伴奏トロンボーンのための「ジョー・ジャック・ピングルバンディット」
チャイコフスキー(C.リンドバーグ編) / オペラ「スペードの女王」より組曲
ガ−シュイン(A.リンドバーグ編) / 3つの前奏曲
ドビュッシー(A.リンドバーグ編) / 「子供の領分」より
「小さな羊飼」「グラドゥス・アド・パルナッムス博士」「ゴリウォッグのケークウォーク」
フォーレ /舟歌第1番 イ短調Op.26(ピアノソロ)
C.リンドバーグ編 愛奏曲集
「チャイコフスキー/ただあこがれを知る者だけが 」
「メンデルスゾーン/歌の翼に」
「ラフマニノフ/チェロ・ソナタからアダージョ」
(encore)
曲目不明 2曲
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