ドイツの伝統あるオーケストラ、フランクフルト放送交響楽団を聴きに
名古屋市の愛知県芸術劇場へ。
この日はトラブル続き。
まず、ピアノのエレーヌ・グリモーが体調不良で、
ヴァイオリンの諏訪内晶子と交代するというハプニング。
観客の多くが当日に知ったようだ。
ラッキーという声も聞かれたが、
私はグリモーのベートーヴェン「皇帝」、
ぜひ聴いてみたかった。
代役の諏訪内晶子はメンデルスゾーンを演奏。
練習不足なのだろうか、
あるいは大阪、東京でのこのオケとの共演を前に、
ゲネプロのつもりではないだろうか、
そんなふうに思えるくらい緊張感のない演奏だった。
その代わりではないが、パープルで胸が大きく開いたドレスは、
観客(私も含む)の視線を集めていた。
体のラインがよく分かるシルクのドレスは、いつもながら垂涎もの。
次のトラブルは、休憩後のマーラー演奏の直前に起きた。
チューニングの途中で、コンマスがコントラバスの首席に何か指示をした。
コントラバスはすぐに楽屋へ。
ところが解決しなかったようで、今度はコンマスが席を外す。
ずいぶん待たされた後、コンマスはパート譜を手に持ち、
上に掲げながら戻ってきた。
これが無かったんだよ、とでも言いたかったのか。
観客からは笑いが漏れる。
だれのミスかは分からないが、ちょっとお粗末すぎる。
さて演奏のことも少し。
全体にアンサンブルの乱れが目立った。
特にホルンの首席は、ちょっと見てられない状態。
どうしたんだろう、体調でも悪いのではと思ってしまう。
指揮者の意図していることと、オケの思いが一つになっていない、
そんな印象を受けた。
かろうじて4楽章の後半で、本領を発揮し、
一つにまとまったが、時すでに遅し。
そして、アンコールのワグナーでまた元の演奏に戻ってしまった。
いったいどうしたんだ、フランクフルト放送響。
このオケのマーラー1番は、ずいぶん前にインバル指揮で聴いている。
その重厚なサウンドが印象深く、今回も期待していたのだが、残念な結果に終わった。
今までドイツの、特に放送交響楽団ではハズレはなかったか、
今回初めて、首を傾げるような演奏に出会った。
そこで、私が出した結論は、
指揮者ヒュー・ウォルフとこのオケの相性は良くない。
このまま今回の来日公演が終わってしまうのか、
あるいは、ツアー後半はもうちょっとまとめてくるのだろうか。
ぜひ、他の公演の感想も聞きたいところだ。
●ヒュー・ウォルフ指揮フランクフルト放送交響楽団
'05.2.4 愛知県芸術劇場コンサートホール
ベートーヴェン/「エグモント」序曲
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲 諏訪内晶子(Vn)
(休憩)
マーラー/交響曲第1番ニ長調「巨人」
(encore)
ワーグナー:「ローエングリン」第3幕への前奏曲
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