狂熱の名演奏 ヤンソンス指揮ロイヤルコンセルトヘボウ
この週末、ゲルギエフ指揮ウィーンフィルと
ヤンソンス指揮ロイヤルコンセルトヘボウの演奏会を、2日続けて聴いた。
今、世界のオーケストラのベスト3を挙げるとするなら、
この2つのオケにベルリンフィルを加えることになろう。
今、この3つのオケが来日し、国内各地で演奏活動をしている。
すごいね、日本って。
さて今夜、名古屋で聴いたのはロイヤルコンセルトヘボウ。
満席の観客が熱狂した演奏会となった。
最高のオーケストラ芸術を聴かせてもらった。
このオケは私のお気に入りで、
シャイーが常任だったころも来日するたびに足を運んだ。
今年、ヤンソンスが引き継ぎ、どんな音色になるのか期待半分、不安半分だった。
しかしふたを開けてみれば、シャイー時代よりも素晴らしいではないか。
このオケは、まずもって弦の音色が素晴らしい。
そして一人一人の金管木管奏者のテクニックも超一流。
オケとしての資質をすべて備えている。
前任者のシャイーはイタリア人らしく情熱的な指揮をした。
ヤンソンスは旧ソ連出身で、手堅い、オーソドックスな演奏を予想していたが、
大変スリリングに富んだ、観客としてはわくわくしまくりの演奏だった。
悲愴の終楽章が終わり拍手をしようとしたら
両手が汗でびっしょりになっていた。
●マリス・ヤンソンス指揮ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団
'04年11月14日 愛知県芸術劇場コンサートホール
・ブラームス交響曲第2番
・チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」
(アンコール)
・シベリウス:悲しきワルツ
・ワーグナー:「ローエングリン」第三幕への前奏曲
今日は日曜なのに仕事が入っていて、
開演に遅刻、おかげでブラームスの1楽章は
ロビーでスピーカーからの音を聴くはめに。
2楽章からは会場に入り、終楽章まで立ち見となった。
前プロにするには惜しいくらいの出来。
ブラームスはこうやって演奏するんだという見本のよう。
感心する点を挙げはじめたらきりがないので、やめておこう。
インターバルをはさんで、メインは悲愴。
私はあまり得意でない曲。
若いころは好んで聴いていたが、
歳をとってからは、あの土着的なメロディーとテーマの重さが、
この曲を楽しめなくしていた。
しかし今夜のような完ぺきな演奏を聴くと、やはりいい曲だなと思う。
特に第3楽章の推進力は、レニングラードフィル並み。
このオケの真骨頂を見た。
3楽章終了後、つい拍手が出てしまったという観客が何人かいたのも
致し方ないなと思うくらい完ぺきな演奏だった。
それよりも終楽章の後、フライングの拍手やブラボーが上がったのは残念。
悲愴は演奏後の余韻をもっと味わいたい。
アンコールは2曲。
シベリウスの「悲しきワルツ」をしっとりと聴かせてから、
最後はローエングリンで終わるという、憎い演出。
お見事というほかない。
悲しきワルツは、これ以上の演奏はこれからも望めないのではと
思うくらい印象に残った。
あーあ、昨日聴いたウィーンフィル、
これも素晴らしい演奏であったが、
コンセルトヘボウの前ではかすんでしまう。
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