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September 20, 2004

藤原歌劇団・オランジュ音楽祭共同制作「カルメン」

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19、20日と上京し、オペラ2本(正確には3本)と美術展をいくつか観てきた。

まずは19日、藤村実穂子がカルメンを歌った藤原歌劇団の公演。
見事だったのは、指揮のチョン・ミョンフン=写真=と、オケのフランス国立放送フィル。
彼の指揮はスリリングで切れ味が素晴らしい。
ここぞというときには、ぐっとテンポを上げたり、逆に落としたりと
変幻自在のテンポ設定が、ツボにはまって心地よい。
そして何よりも彼の指揮には歌心がある。
これからもオケ公演だけでなく、もっとオペラを振って欲しいものだ。

さて、歌手だが、タイトルロールの藤村さんに尽きる。
第1幕は少々緊張気味、2幕以降は安定して聴くことができた。
私の地元出身の彼女は、今までも注目してきた。
海外を拠点に活動しているので、年数回しか国内では聴くことが出来ない。
それでも新国立劇場での「ドン・カルロ」「ワルキューレ」「神々のたそがれ」と
私は3回、ステージで観る機会があった。
ドン・カルロのエボリ公女はあまり印象に残っていないが、
ワーグナーは堂々たる歌いっぷりであった。
彼女のカルメンは、国内では初だが、大成功であったといえよう。
終演後、熱狂的なカーテンコールで、何度呼び出されたであろうか。

楽屋口は、サインをねだるファンでごった返していた。
私も行列に並んでサインをしてもらった後、
中津川「すや」の栗菓子を手渡したら、とても喜んでもらえた。

その他の歌手は・・・
ドン・ホセ役のチョン・イグン、
声が大きく聞き応えあったが、歌が一本調子に陥りやすく、
ただ声を張り上げるだけのようなところも散見。
エスカミーリョ役のエルウィン・シュロット、
なかなかいい男で、外見はこの役にぴったり。
代役だったので、これだけ歌えれば十分。
ミカエラ役の井上ゆかり、
とてもかわいいので及第点。

ジェーロム・サヴァリの演出。装置は、
非常にオーソドックスで、悪いというわけではないが、この春以来、
キース・ウォーナーの「神々のたそがれ」、野田秀樹の「マクベス」、ロバート・カーセンの「ラ・ボエーム」、
サイトウキネン・フェスでのペーター・ムスバッハの「ヴォツェック」と
斬新なアイデアあふれる演出を続けて観ているので、
この程度では少々不満。

以上、全体としてはよくできた、
わざわざ新幹線を使ってでも観る価値のある公演であった。

●藤原歌劇団・オランジュ音楽祭共同制作「カルメン」
カルメン:藤村実穂子
ドン・ホセ:チョン・イグン
エスカミーリョ:エルウィン・シュロット
ミカエラ:井上ゆかり
合唱:藤原歌劇団合唱部・韓国国立オペラ合唱団
児童合唱:東京少年少女合唱隊
指揮:チョン・ミョンフン
管弦楽:フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団
演出・装置:ジェローム・サヴァリ

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