千夜千曲<20> 突然の贈りもの/大貫妙子
大貫妙子のまわりには、いつも腕利きのミュージシャンが集まる。
10代でシュガーベイブを結成したときの山下達郎、
ソロになってから、アレンジやバックミュージシャンとして支えてくれた坂本龍一、
その後も、ヴァイオリンの中西俊博、小林武史など、そうそうたるメンバーだ。
15年くらい前、名古屋で聴いたライブでのこと。
バックのメンバー紹介で、彼女は若いキーボード兼アレンジャーを褒めちぎっていた。
後に、MY LITTLE LOVERやMR.CHILDRENのプロデューサーとして有名になる
小林武史であった。
彼女に目利きのセンスがあるのか、あるいは、自然に有能なミュージシャンが集まってくるのか。
そんなこともあって、彼女のアルバムやライブは派手さはないが、常に時代の先端であった。
「突然の贈りもの」は78年の3rdアルバム「ミニヨン」で歌われた初期の作品。
永らく音信が途絶えていた昔の恋人から、突然、花束が届く・・・
戸惑いながらも、感傷にひたる女性の心を描いた歌詞と
いつものピュアな歌声が心に染みる。
後に、溝口肇のチェロ、中西俊博のヴァイオリン、F.レザ・パネのピアノ、清水靖晃のサックスなど、
アコースティック楽器をバックに再録音したヴァージョンが、私は好きだ。
アルバム名は「Pure Acoustic」。
ライブ会場だけの限定販売で、当時は幻の名盤といわれた。
その後は一般発売もされたようだ。
大貫妙子のオフィシャルサイトを見たら、
季刊誌「Arne」(アルネ)でCD紹介の連載が始まるらしい。
アルネは大橋歩がひとりで企画・編集・写真・取材などを手掛けている。
もし私が雑誌編集を職業として選んでいたのなら
こんなのを目指していたであろうと思う。
さあ、大貫妙子がアルネの紙上で
どんなCDを紹介してくれるのか今から楽しみだ。
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